「縮む日本」を無批判に受容する野田政権~政治は未来を変革する努力を怠るな
2012-3-14
野田首相の講演での口癖も、「1960年代は1人のお年寄りを働く世代9人が支える『野球チームの胴上げ型』、今は現役3人で支える『騎馬戦型』、2050年には1人が1人を支える『肩車型』の社会になる」というもので、だからこそ今、消費税増税が必要というわけだ。
ただ、ちょっと待てよと思う。
長期的な趨勢として、少子高齢化が進むことはその通りだろうし、ある程度の増税が必要な場面はあろう。
しかし、「政治」は、本来、国民の幸福のため、社会システムのあり方を能動的に変革するという大切な機能を持っているはずだ。
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「身を切る努力」のシステム化を~政府に批判的な専門的外部監査導入の提案
2012-2-23
もっとも、消費増税賛成派も、反対派も、消費増税論議の前に、税金のムダ使いを徹底的に排した上、国家公務員人件費削減や国会議員の定数削減など、「自ら身を切る努力」を国民に対して示さなければならないという点では一致している。
ただ、この「税金のムダ使いの排除」、「自ら身を切る努力」という言葉は、少しくせ者だ。
かつて野党時代の民主党は、「税金のムダ使いを排除」すれば、いくらでも財源が浮くという幻想を振りまき、ムダの例として、「居酒屋タクシー」問題などが告発されたことは記憶に新しい。
でも、終電過ぎまで仕事をして帰途につく公務員に、個人タクシーの運転手が税金でなく自腹で缶ビールを振る舞う「居酒屋タクシー」が、税金浪費の典型だったとするには無理があろう(缶ビール目当てでわざと居残り、タクシー代を浪費した不届きな公務員がいたとすれば、税金のムダ使いと言えなくもないが。)。
この告発は、針小棒大の類の、明らかなパフォーマンスだった。
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「緊張感ある歳出抑制」なき増税はナンセンス~さらなる増税とバラマキの固定化を生んではならない
2012-2-1
今回は、「基礎的財政収支」に着目して、現在野田政権が進めようとしている消費税増税政策の問題点を検証してみたい。
最近新聞等で、「基礎的財政収支(プライマリーバランス)」という言葉を良く目にするが、これは、毎年の予算のうち、その年に支出する国の借金(国債)の元利払い金から、同じ年に発行される新規の国債の金額を差し引いたものをいう。
+になれば黒字、-になれば赤字と言うことになる。
この指標が重視されるのは、ザックリ言って、毎年、借金の返済額(元利払い)が新たな借金額を上回っていれば、国や会社の収支は、トントン以上ということになり、一応健全な経営がなされていると見なされるからだ。
そしてわが国は、何十年も前から借金づけのように言われることもあるが、実は、つい14年前の橋本内閣当時、「基礎的財政収支」は黒字で、先進国の中でも比較的健全な財政運営が行われていたことは、余り知られていない。「目で見る活動欄」にアップしたグラフを参照して頂きたい。
これは、毎年度の当初予算における基礎的財政収支をグラフ化したものだ。
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放漫財政のつけを国民に回す増税であってはならない~最近の歳出の急膨張問題を題材に
2012-1-16
今、増大する社会保障費を賄うためには、最終的には消費税に財源を求めざるを得ないと、多くの国民は感じて始めている。
マスコミも、消費増税容認の大合唱。
ただ、麻生・鳩山・菅政権にまたがる最近3年間で、消費税5%分に相当する約10兆円もの支出が拡大(当初予算ベース)してしまったことは、何故か余り報じられていない(左図)。
野田政権の編成した平成24年予算案も、震災対応費(別会計)以外の一般会計予算歳出額は、昨年を上回っている状況だ。
お金の出口をコントロールしなければ、増税を実施しても、穴の開いたバケツに水を注ぐようなもので、財政再建には役に立たない。
今回は、この点を検証してみよう。 (重要な指標である「当初予算」)
「国の予算」という場合、大きく、通常国会で審議される「当初予算」と、追加的に編成される「補正予算」に分けられる。
このうち、「補正予算」は、例えばリーマンショック後の恐慌対策(麻生内閣、約15兆円)、東日本大震災復興・復旧対策(菅・野田内閣、約15兆円)など、どちらかというと、不測の事態に対応して緊急的に編成されるもので、財政の健全性を判断する指標としては、「当初予算」の状況が、より重要となる。
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この政権は余りに姑息すぎないか~身を切る覚悟が疑われる公務員給与と大臣給与問題
2011-12-12
先に首相が被災者二重ローン問題も含む第4次補正予算の編成を指示しながら、一川防衛大臣の失言・資質問題が火種になりそうになった途端、さっさと国会を閉じてしまうのは、まさに被災者を置き去りにした暴挙だ。
そんな中、国家公務員の給与を引き下げる法案は積み残しとなり、結果、12月15日には、国家公務員に対し、前年比4.1%増の冬のボーナスが支給されることとなってしまった。
また、一川防衛大臣の問責決議は可決されたものの、当人は「給与の全額自主返納」で反省の意を示しつつも続投を表明、年内に環境アセスメントの評価書を沖縄県に提出する構えを崩していない。
ただ、これら2つの問題、その裏を見てみると、野田政権の姑息さが良く見えてくる。○団体交渉・スト権付与の橋頭堡作りを狙っていた民主党案
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野田首相は、もっと大事な問題で「捨て石」になるべき~葉梨康弘の具体的提案
2011-12-8
財務省言いなりの野田首相が、消費税引き上げにご執心なのは良くわかるし、最近ではアメリカの言いなりの野田首相が、TPP交渉参加にご執心なのもよく分かる。
でも、個人的思いは別として、一国の総理なら、今目の前にある明らかな国難に対し、「捨て石になってけりをつけ」て欲しいと思う。
今目の前にある国難とは、言うまでもなく、東日本大震災にかかる震災復興、そして、民主党政権になってこじれにこじれてしまった普天間問題だ。
発言を聞けば、野田氏には、震災復興や普天間問題にけりをつける考えがないようにも思えるが、今回のコラムは、民主党に対する批判ではなく、ではどうすべきか、私なりの提案を行わせて頂きたい。○「安全保障」など抽象的表現でなく、目前の「普天間問題」のけりをつけるべき
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仕分けられるべきは民主党政権そのものだ~失政による財政悪化の責任を誰がとるのか
2011-11-21
ただ、「行政の無駄をバッタバッタと切り捨てる判定を連発した過去の仕分け。しかし今回は、民主党政権の政策を拘束したくないという配慮から、提言にとどめた。」「仕分け劇場にかつての熱気は感じられない。」(いずれも産経新聞)との報道にもあるように、民主党政権のかつての金看板は、とっくに色あせた感がある。
もっとも、仕分け人たちがいかに汗をかいたとしても、「意図的又は無意識の失政で問題をこじらせる。」→「これを解決するために多額の税金を投入する。」という、民主党政権の高コスト構造が続く限り、財政再建など夢のまた夢だ。
このような観点から、鳩山・菅・野田3政権を振り返ってみよう。
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民主党政権にTPP交渉を委ねてはならない~野田政権は震災復興に専念するか、さもなくば国民の信を問え
2011-11-13
この、TPP(Trans-Pacific Partnership)を「環太平洋パートナーシップ協定」と訳すのは、政権による意図的な誤訳の臭いがする。
「環太平洋」は英語ではPacific Rim、TPPのtransは、「貫く」「横断する」の意で、TPPの直訳は、「太平洋横断的パートナーシップ協定」ということになる。
そして、こちらの訳の方が、TPPの重要なポイントが「太平洋の対岸の米国とどうつきあうか」であるというニュアンスが伝わってくる(実際、環太平洋諸国のうち、中国、ロシア、韓国などはTPPに参加しない。)。
ただ、日本はもともと貿易立国で、TPPの本質がどうであれ、WTO(世界貿易機構)、FTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)など、多国間、2国間の経済連携の枠組みに、一般論としては積極的であるべきだ。今回のTPPは、聞くところによれば、10年間で関税ゼロを目指すということらしいが、競争力の弱い国内産業をしっかり守ることができれば、交渉参加も意味のあることかも知れない。
しかし、今の民主党政権がTPP交渉を担うことは、確実にわが国の国益を損なう。
その理由は主に3つある。
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「震災復興のドサクサ」に紛れた公約違反を許すな~詭弁を弄する民主党政権を監視しなければ
2011-10-19
今回の補正予算の規模は約12兆円とのことだが、自民党が7月6日にまとめた「17兆円規模の補正予算提言」の半分以上の項目は盛り込まれているらしい。
ただ、いかんせん遅すぎる。
自民党が政府に提言を行ってからすでに3か月半、民主党の党内政局の混迷で、復興策の実施が延び延びになってしまった。
被災者の皆さんは、本当にお気の毒だ。
ただ、何故もっと早く出さなかったのかという不満はあるが、野田新内閣が復興対策の補正予算を提出してきた以上は、財源問題は別途詰めるとして、必要な復興支援策には、与野党が協力し、早期の成立・執行を図るべきと思う。
もっとも、「財務官僚言いなり」の野田内閣のこと、「今は震災復興に全力を傾ける時期」、「だから解散総選挙の余裕はない」というお題目の影に隠れ、震災復興のドサクサ紛れに、国民や国会の意見を無視して、勝手にことを進めないように、私たちはしっかり監視しなければならないと思っていた。
そんな矢先の10月15日、パリで開催されたG20(20カ国・地域、財務相・中央銀行総裁会議)で、2010年代半ばまでにわが国の消費税を5%引き上げるための関連法案を、来年の通常国会に提出し、成立を図ることを国際公約したというニュースが飛び込んできた。
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「思いつきの政治主導」の次は「財務官僚言いなり」~全体戦略とタイミングを押さえた「まともな政治」を取り戻せ
2011-10-18
この1か月、首相は『できないことは言わない』(側近)を基本路線に、新機軸はほとんど打ち出さず、政権運営や政策方針の決定では担当の閣僚や民主党幹部に判断をゆだねるケースが目立った。」(10月2日付読売新聞)
野田氏は、「思いつきの政治主導」を乱発し、行き詰まって退場した鳩山・菅内閣を反面教師として、「長期政権」を狙っているようだ。
勿論、震災復興には、どんな内閣だろうとしっかり協力すべきだろう。
ただ、野田政権は、震災復興以外に、そのドサクサで、消費税引き上げ法案の準備、年金支給開始年齢引き上げ検討、TPP参加問題など、かつて自民党政権でもやらなかった(財務)官僚言いなりの課題に手をつけつつある。
「思いつきの政治主導」の次は、「政治主導の死」あるいは、「財務官僚の言いなり」ということか。(官僚まかせでは政府全体の戦略とタイミングの視点が欠如)
私自身の経験でも、官僚は、政治家と比べ、確かに専門知識には優れている。
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