北朝鮮人権法成立(2)~法律を作るだけでなくこれからの努力が大切
2006-6-17
それに先立つこと3日、法案が衆議院本会議を通過した日の夕刻、私たち自民党拉致対策本部の4人の議員団(団長・逢沢一郎幹事長代理)は、韓国のパン(潘)外交通商大臣と会談した。
「北朝鮮人権法」の成立が確実になったのを受け、法律のねらいを韓国に対し説明、6月28日にも予定されている金英男さん(横田めぐみさんの夫?)と、そのご家族との再会を、拉致問題解決の出発点とすべきことを訴えるためだ。
拉致問題に関し、もしも韓国がわが国と正反対の政策をとるようでは、わが国が「対北圧力」を強めたとしても、その効果は大きく減殺されてしまう。
特に最近、状況が急展開し、北朝鮮主導により、金英男さんとそのご家族との再会がセットされることになった。
もとより、ご家族との再会は、感動的で、大変喜ばしいこと。
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北朝鮮人権法成立(1)~非現実的な民主党案のおかげで足踏みしてしまったけれど
2006-6-12
6月8日深夜、自民党の逢沢一郎幹事長代理(拉致対策本部長)と民主党の中井洽拉致対策本部長との間で、我々の案をベースに微修正を行うことで合意が成立、今国会で成立の見通しとなった。
私たちが提出した「北朝鮮人権侵害対処法案」は、その内容を見れば、(北朝鮮信奉者の方は別として)決して成立を先延ばしされる性質の法案ではなかったと思う。
ただ、4月28日に法案を提出して以降、民主党が法案の審議入りを拒否、成立も危ぶまれる状況になり、ここに至ったのが実態。
実は民主党さん、この2月に、「北朝鮮人権侵害被害救済法案」(略称)という、我々の法案と名前の似た法案を提出していた。
ただその中身は、我々の法案とは内容が全く別、北朝鮮から脱出したいわゆる脱北者を日本に受け入れ、金正日政権の弱体化を図ろうという、「本気なの?」という中身だった。
そこで、我々は、両案並べての審議入りを提案していた。そうすれば、彼らも、我々の案に乗ってこざるを得ないはず。
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憲法改正国民投票法案~与党案と民主党案はどう違うか
2006-6-9
自民・公明と、民主党の双方から提出された憲法改正国民投票法案が審議入りした。
国会の場で、戦後初めて、憲法改正に関する議論が行われた歴史的な日だ。
私も、与党案の提出者として、本会議場の閣僚席に座り、いくつかの論点について答弁に立った。
15日には委員会審議も行われる予定で、今後、さらに国民の関心が高まることを期待したいが、この法案、与党案と民主党案で、どのような違いがあるのだろうか。
実は、この問題については、中身の議論が余り報道されず、「与野党の協議が暗礁に乗り上げている」、「小沢代表は法案一本化に消極的」といった、政局がらみの話題として取り上げられることが多かったため、双方の考え方に大きな違いがあるように思われ勝ちだ。
しかし、実のところは、内容的に先鋭な対立があるわけではない。
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「格差社会問題」と再チャレンジ~「再チャレンジ支援議連」発足
2006-6-3
90人を超える議員が参加し、「再チャレンジ支援議員連盟」(山本有二会長)が発足。
この議連は、「(次期総裁候補である)安倍晋三官房長官支持派旗揚げ」などと報道されており、マスコミの関心も高い。
私自身は、政策本位で議連に参加したが、この日、安倍官房長官からの、「再チャレンジ支援」への取り組みの説明の後、トップバッターで発言し、議論の口火を切った。
その内容は、第1に、今、「格差社会問題」が言われる中で、政治として取り得る方策は、ホリエモン・村上ファンドのような不公正な競争をなくすことに加え、やはり、「負け組」と言われる方々の再チャレンジ支援を積極的に進めることが大切ということ。
そして、第2に、さはさりながら、国民の間に、「格差の実感」が広がっていることは事実で、だからこそ、安倍官房長官には、地域・地方の実情を実地に見ていただきたいということだ。
もう少し具体的に書いてみよう。私は、この3月の韓国・朝鮮中央日報のインタビューでも述べたが(記事は、当地4月24日・25日付で掲載)、戦後わが国の高度成長期は、国民に「格差を実感させない」ための「政策手段」を持っていた、わが国の歴史上、ある意味で特別の、恵まれた時代ではなかったかと考えている。
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「民主党対案」の無責任~建築基準法改正で野党案の問題点を追求
2006-5-26
そして、政府の建築基準法の改正案に対し、野党・民主党からも「対案」なるものが提出され、衆議院の国土交通委員会で、双方の案を審議することとなった。
私は、民主党が「対案」を出してきたこと自体は、評価している。
ただ、問題はその中身。
結論から言うと、民主党案は、色んな思いつきをつぎはぎしたため、一見何かたくさんの施策を盛り込んでいるように見えるが、全体として、奇妙きてれつな非現実的法案であるということ。
このような案を、彼らは、「居住者のためになる」と強弁しているわけだが、私は、国民の中に、このようなまやかしに騙される方が出てきてしまうことを心配している。
このため、私は、5月23日の国土交通委員会で、民主党に対し、「対案」の問題点を質した。 (続きを読む…)
都会と田舎の交流の勧め~新たなライフスタイルづくりを目指して
2006-5-20
私は、ニューコミュニティー委員長として、今後の検討の方向を示した。
今、日本では、「大都市の再生」が言われる一方、「農山漁村」は、急激な人口減に見まわれ、その消滅の危険性も叫ばれている。
ただ、考えてみれば、欧州諸都市の成り立ちとは違い、わが国の都市住民の多くは、もとをたどれば、農山漁村の出身。
そして、今のままでは、やがては、国民のほとんどにとっての「ふるさと」が失われていくことは必至だ。
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55年体制・冷戦構造崩壊後15年~政治構造の転換にあわせた新たな憲法を
2006-5-6
私は、水戸県民センターでの「茨城で考えるこれからの日本・憲法フォーラム」(青年会議所茨城ブロック主催)に、パネリストとして参加した。
コーディネーターは、TVでもおなじみの小林節慶大教授、パネリストは、私のほか、民主党の河村たかし衆院議員、青年会議所茨城ブロックの立原会長というメンバー。
私も、この数ヶ月、「国民投票制度」について発言することが多かったが、この日は、改憲論について、久しぶりに持論を展開した。今日は、その中でも、参加者から、「初めて聞く視点で、大変参考になった」という感想が多かった、9条改憲の必要性について、私の考えを述べてみたい。
結論から言うと、55年体制・冷戦構造崩壊後15年、わが国は、もうそろそろ、政治構造の転換にあわせた新たな憲法を持つべき時が来ているということだ。戦後60年、わが国は、対外武力行使について謙抑的姿勢を貫き、私自身は、国際社会の信頼を勝ち得てきたように思う。
もっとも、国の独立と国民の安全を守るためには、武力行使を含めた強い姿勢が必要であり、そのための軍事力も、平素から保持していなければなるまい。
しかし、今後のわが国のあるべき姿として、「国際的つきあい」の一言で、簡単に、軍隊を地球の裏側まで派遣して良いとは、私は考えない。
やはり、長年培ってきたわが国の平和主義は、大切にすべきだ。
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本格的地方の時代こそ議会機能の強化を~首長に対する権力集中への危惧
2006-4-28
ただ、その一方でささやかれるのが、知事・市長などの「首長」に、今まで以上に権限もお金も集中するという問題だ。
勿論、直接公選の首長は、大いにリーダーシップを発揮すべきだ。
しかし、人間誰しも完全ではあり得ない。
だからこそ、同じく住民代表である議会との間で、常にチェックアンドバランスが確保されることが極めて大切だ。
もちろん、効率性だけから見れば、「ああでもない」「こうでもない」という、議会での議論は、一見ムダかも知れない。
でもそこは、「民主主義の学校」と言われる地方自治、経済効率だけでは割り切れない側面もあろう。
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住宅政策の大転換~社会政策・経済政策・都市政策の全ての面で転機に
2006-4-22
私は、「住宅の量から質への転換」をうたう、政府提案の「住生活基本法案」について、参考人質疑を行った。
戦後わが国の住宅政策は、圧倒的な住宅不足と人口増圧力を背景に、住宅の「量的拡大」を至上命題としてきた。
ところが、わが国の人口は、既に減少期に入っている。
だから、住宅政策には、抜本的な大転換が不可欠だ。
今回の法案は、その転換の理念を示すものといえる。
ただ、従来の住宅政策の主要な行政ツールであった「公営住宅・金融公庫・公団住宅」の3点セットは、いずれも、量的拡大路線に対応したスキームだったと言って良い。
その意味で、このような基本法の策定以降も、しっかりした具体的施策体系を構築していくことが必要だ。
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政府資産圧縮・政労交渉はオールマイティではない~行革推進法で質疑
2006-4-9
中身は、特別会計改革、政府資産改革など盛りだくさんで、マスコミからは、「小泉改革の総仕上げ」とも言われている。
もっとも、この法案自体は大いに評価できるものの、私は、それだけでは決してオールマイティではないことを、国民に対してきちんと説明していく必要はあると考えている。
最近の報道を見ると、ときに、「数百兆円に上る政府資産を圧縮すれば、財政赤字は大幅減少する」とか、「公務員の身分保障を撤廃して労働基本権を与えれば公務員給与も民間並になる」などの、ちょっと甘めの、誤解とも思える見出しが踊ることがある。
でも、改革は、そんな生やさしいものではない。
このような誤解を排し、国民に対し、今後も、「痛みを伴う構造改革の継続が必要」という、ある意味で辛口のメッセージを発信していくことが、政治家の責任として大切と思う。
4月6日の衆院・行政改革特別委員会で、私は、党の行政改革本部幹事・公務員給与断行議連の事務局長の立場から、いくつか注文をつけた。昭和50年代半ば、中曽根康弘行政管理庁長官、渡辺美智雄大蔵大臣の下、「増税なき財政再建路線」が進められた。
しかし、今回の行政改革に、当時と同じ結果を求めるとなると、方向性を見誤ることになる。
当時とは、財政赤字の状況も、人口の高齢化の状況も、桁違いに異なるからだ。
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