各種調査を終え、世界遺産にも指定されているタリン市の旧市街を歩く。緯度が高いため、9月上旬のこの時期は、午後9時頃まで明るい。
9月5日の午後は、エストニアの法務省で司法手続等のIT化について説明を受ける。IT化の進んでいるエストニアでも、司法手続関係は、裁判官や弁護士等から、少なからぬ抵抗があるらしい。極めて有益な情報交換だったと思う。
9月4日にエストニアへ移動。翌日朝に、エストニアのITブリーフィングセンターで、IT先進国と言われるエストニアの状況を聴く。その後ハリュ県(エストニアは、人口130万人の小国で、15の県がある。)裁判所で、原告、被告、弁護人等の出廷がなくとも、TV画面でその主張等がリアルタイムで映し出され、傍聴人がこれを見ることができるといったe法定を視察(写真)。ソ連邦崩壊後独立し、当時は発展途上国だったエストニアが、国民一丸となってIT化を推進することで、国の生き残りと、EU諸国へのキャッチアップを図ってきたことが良く理解できた。
9月4日は、ノルウェー最高裁のトーリル・マリエ・オイエ長官を表敬訪問。オイエ氏は、ノルウェーでは初の女性最高裁長官とのことだが、女性の社会進出が進んでいるノルウェーのこと(首相も女性)、当然のこととして報道されたという。
9月3日、ハーゲン外務副大臣と会談。両国関係の強化について意見を交わす。
9月3日午後、ノルウェー労働社会省のアイナン副大臣と会談。外国人に係る労働政策について意見を交わす。
9月3日午前は、移民・難民のノルウェー社会への統合政策を担う「統合多様化庁」を訪問。この役所は、2006年に発足し、労働社会省(外国人労働者対策を所掌)や法務省(入国の許認可を所掌)の下に置かれた後、2018年から教育研究省の下に置かれている。難民のノルウェー社会への統合は、極めて大きな課題で、難民に対する教育プログラムを充実させるなど、政府としても、取り組みを強化している。
9月2日の午後は、国税庁(回収庁)を訪問。ノルウェーでは、暴力犯罪の被害者に支給した補償金の犯罪者からの回収は、国税庁の1部門である回収庁が担っている。国民一人一人の財産に関する情報が、1つの番号で紐付けされているため、国税当局は、簡易な照会で把握することができる。それでも、犯罪者からの回収額は、支給した補償金の金額の15%程度だという。
9月2日午前中は、法務省刑事補償局で、ノルウェーでの暴力犯罪に対する刑事補償制度の調査。ノルウェーでは、国が暴力犯罪の被害額を裁定し、被害者に支払った上、国がその債権を犯罪者から回収する制度をとっている。1976年に制度が始まったが、年々最低額は増加する傾向に在り、昨年は約20億ノルウェークローネ(220億円)が被害者に支払われた。我が国の犯罪被害者給付制度の約10倍近い金額だ。
駐ノルウェーの田内特命全権大使公邸でのブリーフィング。田内大使は、東京高検検事長からノルウェー大使に転じた経歴を持つ。法務関係だけでなく、ノルウェーの政治経済全般についてブリーフィングを受ける。