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はなし康弘

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2005年11月8日

国民投票制度視察8~チーチ・スロバキア大統領府長官

11月8日、憲法学者でもあるオーストリアのコール下院議長と会談。rn制度についての説明も勿論だが、「戦後2つの国民投票のうち、1つは、政策の可否よりも政権の好き嫌いと結びついたために失敗した。国民投票にかける内容については、国民に対して、時間をかけてしっかり説明することが大切。」とのコメントが印象に残った。rn

2005年11月8日

国民投票制度視察7~ブラチスラバ城

わが国には、憲法改正国民投票について、その手続を定める法律がない。rn今、この法律の制定のための各党協議が具体化しつつある。これは実は戦後初めてのこと。私は、11月7日から18日まで、衆院憲法調査特別委員会の派遣の自民公共社の議員団(団長 中山太郎委員長)に加わり、欧州5カ国を調査。rn11月7日深夜にウィーン着。翌朝最初の訪問先、オーストリア国民議会前にて。rn

2005年11月5日

改憲・護憲の垣根を超えて~国民1人1人が憲法を創る(守る)仕組みを

「憲法改正国民投票は国民の統合に大きく寄与」

衆議院憲法調査特別委員会は、11月7日から19日までの間、委員8名に欧州5か国を視察させ、国民投票制度についての調査を行うことになった(私の参加は18日まで)。
メンバーは、自・民・公・共・社の各党から次の8人。
自民党中山太郎・衆院憲法調査特別委員長(衆7、参4期)
保岡興治・党憲法調査会長(衆11期)
私、葉梨康弘(衆2期)
民主党枝野幸男・党憲法調査会長(衆5期)
古川元久・党憲法調査会事務局長(衆4期)
公明党高木陽介・党広報局長(衆4期)
共産党笠井亮・党国際局次長(衆1、参1期)
社民党辻元清美・党政審会長代理(衆3期)

2005年11月1日

権力の怖さを知っていたからこその平和主義~政治家・後藤田正晴先生の死を悼む

10月31日、去る9月19日に逝去された後藤田正晴元副総理の「お別れの会」がしめやかに行われた。

後藤田元副総理お別れの会

後藤田正晴氏は、私にとって、警察庁・内務省の43年先輩。
役所時代のダブリはないが、警察庁長官を務められ、「カミソリ」と異名をとった先輩の伝説は、色々なところで聞いた。
私が先輩に直接お会いしたのは、平成に入ってから、警察庁外勤課及び少年課時代に数回、さらに、退官後私自身が政治家を目指してから数回、いずれも、晩年の温顔に触れさせて頂いた思い出がある。
この日の「お別れの会」では、先輩の「ハト派」の側面が強調されていた。
もっとも世間には、「警察官僚出身」という先輩の経歴と、「ハト派」としての先輩の姿のギャップに不可解さを感じる人もいるようだ。
でも、私は、同じ役所の後輩だからこそ、政治家・後藤田正晴に、「権力の怖さを知っていたからこその平和主義」を見る。役所出身の政治家となると、世間的には、どうしても、「出身省庁の利益の代弁をしている」というイメージがある。
でも、後藤田正晴先輩は、大変「身内に厳しい」政治家だった。
私の役人時代、警察庁の官僚にとって、先輩の評判は、「警察庁出身なのに、警察庁に対して厳しい」というもの。
例えば、警察官の増員の問題にしても、与野党を問わず、多くの政治家は、「地元の要望を考えると警察官は是非増員して下さい」と、警察庁の応援団になってくれる。
しかし、先輩の場合は、役人が説明に行くと、開口一番、「増員しなくてももっと工夫できるはずだ、工夫をした上で持ってこい」という反応が多かったと聞いている。

2005年10月27日

人口減社会に対処した公務員純減を~公務員定員削減の3つの方向性を初めて提唱

今、公務員数の「純減」の議論がホットな話題になっている。

純減目標を決めた行革本部総会

10月26日の自民党の行政改革本部の総会は、約40万人の一般職国家公務員総数を10年間で2割減らすこととし、地方にも、同様の努力を求めることを決めた。
従来の公務員の定員管理が、「公務員数を減らすこと」よりも、「公務員数を増やさないこと」に重点を置いてきたのと比べると、大転換だ。
また、与党だけでなく、政府の経済財政諮問会議でも、11月をメドに公務員総数の純減目標を設定していくこととしている(数字的には、5年で5%、10年で20%程度になると考えられ、ほぼ党と同水準が見込まれている。)。
もっとも、「ホントにできるの?」という声も確かにある。
逆に、政府与党が、「現在の公務員の2割は、無駄な人員である」と宣言するにも等しい目標を掲げることで、逆に、真面目な公務員の志気が落ちてしまうのではという懸念があるのも事実。
私個人としては、ちょっと種明かしめいてくるが、10年で2割減という数字は、真面目な公務員の役割を十分評価しつつ、十分に実現可能なものと思う。
今日はそのへんを書いて見よう。 公務員の定員削減は、3つの方向性に分けて考えるべきだ。
1つは、今まで「官」がやっていた仕事を「民」にやらせること。郵政民営化などがその典型だ。
例えば、郵政民営化により、26万人の公務員が民間人になる。実はこれだけで、国家公務員総数を3割削減する効果があった。
そして、郵政以外にも、公務員型の独立行政法人(国立研究所など、約7万人)や、独立採算の現業公務員(公立病院など)の業務を民間に委ね、公務員の身分を民間人としていけば、公務員の数自体を、相当削減していくことができる。

2005年10月22日

義務教育の水準確保とは~公立小中学校教職員給与の国庫負担問題

現在、公立小中学校教職員の給料は、その半額を国が支出し、残りを都道府県が負担するという制度がある。

教職員給与について質す

いわゆる「義務教育国庫負担制度」と言われるものだが、「国から地方へ」をスローガンとする小泉三位一体改革の中で、今、この補助金(年間約3兆円)を廃止すべきという議論が起こっている。
実は、昨年12月の文部科学委員会で、私は、国が半額支出する教職員の給料のあり方について、「警察官にはその制度がないが、工夫次第の面もあるのでは」という指摘を行った。
そして、去る10月20日の自民党文部科学部会。
私は、「義務教育国庫負担制度」存続の必要性は認めつつも、現行通りの国の負担率に拘泥するのでなく、地方の創意をいかし、義務教育の水準を確保するため、もっと柔軟な考え方を持つべきという意見を述べた。
今日は、そこらへんを書いてみよう。この「義務教育国庫負担金制度」を巡っては、国からの補助金を廃止するとともに、従来の補助金額に見合う県民税の税率を上げること(税源移譲)を主張する総務省と、制度の堅持を主張する文部科学省の綱引きが続いている。
現行制度は、国が2分の1を補助するいえば聞こえはよいが、補助金の予算額の決定権を国が握ることで、国が教職員人件費の総額を事実上決めているため、国が地方を不必要に縛っているというのが総務省の主張。
これに対し、東京都など一部の裕福な県はいいが、県民所得の低い田舎の県は、県民税の税率が上がっても、従来の補助金に見合う税収が得られず、結果として、義務教育の水準確保に支障をきたすことになるから、制度を堅持すべきと言うのが文部科学省の主張だ。

2005年10月17日

真の「改革農家」を創るために~「農家」と「政治」の共同作業

10月14日付の日本農業新聞、私の発言が掲載されたので、ちょっと引用する。

葉梨康弘の発言を報じる日本農業新聞

「農政改革の要となる品目横断的な経営安定対策(日本型直接支払い)を具体化する自民党農業基本政策小委員会が13日、東京、永田町の党本部で開かれた。
(直接支払いの対象となる「担い手」の要件設定についての)議員の警戒感は強い。このため、(中略)柔軟な取り扱いを求める意見も相次いだ。
一方で、「農政も護送船団方式でなく、しっかり農業をやる人を評価しようという流れにある」(後藤田正純氏)「生産性向上のための改革だという観点を外すべきではない」(葉梨康弘氏)など、若手を中心に構造改革の加速を迫る意見が勢いを増す。
改革を進めなければ、農政に対する幅広い国民の理解は得られないと言う危機感があるからだ。」
しっかりした農地と農業を後生に引き継ぐため、今、農政は転機にある。古来「豊葦原(とよあしはら)瑞穂(みずほ)の国」と称されてきたわが国では、穀類中心の、労働集約的な農業が営まれてきた。
国民の食生活も、「一汁一菜」のほかは主食の穀類を食し、地域の祭りも、五穀豊穣を願うものだった。

2005年10月6日

憲法改正国民投票制度の早期策定を~立法府の責任として

10月6日の衆議院憲法調査特別委員会は、憲法改正国民投票のあり方について、初めての自由討議。

憲法調査特での初の意見表明

現行憲法は、国会が憲法改正を発議した後、国民投票を行い、その過半数の賛成で憲法改正ができると規定している。
しかし、現在、国民投票の手続きを定める法律は作られていない。
自民・公明・民主・国民の各党は、それぞれ、憲法改正のイメージこそ異なるものの、早急に国民投票法案の検討に入るべきという方向性では、おおむねの一致を見たように思う。
ただ、共産・社民は、「国民投票制度がないことは、必ずしも立法不作為とは言えない。」、あるいは、「憲法改正国民投票制度の検討は、憲法改正の発議とセットで検討されるべきもので、逆に言えば、憲法改正を前提とした議論だ。」など、警戒感を募らせているような印象。
私も、憲法本体については改憲論者ではあるが、この日は、憲法改正の問題とは別に、技術的問題として、憲法改正国民投票制度を切り離して検討することが可能だし、国民の意識啓発のためにも重要という観点から、次のような意見を述べた。まず第1に、護憲論者が良く言われる、「憲法改正国民投票の手続きの未整備は、国会の怠慢、すなわち、立法不作為には当たらない」という議論について。
実は、法律論だけから言うと、この論は、全く一理もないわけではない。
すなわち、憲法改正国民投票制度が整備されていないが故の具体的な損害や被害を立証することはなかなか難しく、今裁判所に、国民投票制度の不存在について「違憲」の訴えを起こしても、「訴えの利益がないから門前払い」ということは十分にあり得る(というよりも、現在の裁判実務からは、確実に門前払いされる。)。
しかし、このような考えは、いわゆる「個別的違憲審査」(問題があったときに憲法判断を行う)に固執した「法律家」の議論で、「政治家」の議論ではない。
我々は、国民の負託を受けた国会議員だ。
やはり、立法府の責任として、国民主権という憲法の基本原則を実現するためにも、国民投票制度をあらかじめ定めておくことが、我々の責務ではないか。

2005年10月4日

「道路特定財源見直し」は良いチャンス~国民のための道路を造るために

「道路特定財源」の見直し問題が、ホットな話題となっている。

葉梨康弘の質問に応える岩国議員(H16.4)

9月28日、衆院本会議で、武部自民党幹事長の質問を受け、小泉総理が、年内に具体的方針取りまとめを指示したこと。
10月3日付の読売新聞社説も、「国と地方の財政が火の車に陥るなか、特定財源導入時に比べ、かなり整備が進んだ道路に、これまで通り潤沢な資金をつぎ込む必要性は薄れた。」として、「道路特定財源の一般財源化」を強く支持した。
このように、マスコミでは、年間5.7兆円に上る「道路特定財源」が、「不必要な道路予算」を生んでいるという議論を耳にする。
勿論、本当にそうなら、「特定財源」を放置することは明らかに害毒だ。
でも、物事そんな単純でないことを、私は、昨年4月の私の民主党・岩国議員への質問でも明らかにしてきた。
今日は、そのへんのところを書いてみよう。「国と地方の財源が火の車に陥」っているにもかかわらず、毎年の道路整備は、「特定財源」だけではとても足らず、それと匹敵する額の「一般財源」が投入されていることは、余り知られていない。
平成16年度予算では、道路整備に使われている国や地方のお金は、国費が3兆5,640億円(うち特定財源分3兆4,943億円)、地方費が5兆6,671億円(うち特定財源分2兆2,249億円)の計9兆2,311億円。
このうち、3,578億円は、本四公団の債務処理などのため、国債費などの一般会計に繰り入れられたため、純粋に道路整備に投入された国や地方のお金は、8兆8,733億円。
そして、揮発油税など、この年の「道路特定財源」の税収は、5兆7,192億円だから、国と地方を通じてみれば、道路整備費用として、道路特定財源以外に、平成16年度は、3兆1,541億円の国民の税金が使われたことになる。

2005年9月28日

公務員給与改革再始動~選挙期間のブランクを埋めて改革の加速を

今回の総選挙は、8月8日の衆議院解散から、9月11日の投票、21日の特別国会召集と、アッと言う間の40日だった。

公務員給与改革議連再始動(H17.9.28)

例年、8月から9月にかけての時期は、来年度予算に向けた各省庁の概算要求や税制改正要望の取りまとめが行われる。
また、私たちが取り組んでいる公務員給与改革の関係でも、毎年8月の第2週(本年は8月15日)には、人事院勧告が、内閣及び国会に対して提出される。
私たちも、選挙がなければ、このようなタイミングに合わせて必要なアピールを発信していくつもりでいたが、選挙の真っ最中で、それもかなわなかった。
その選挙の結果は、「改革の継続」と出た。
我々としても、早く選挙期間のブランクを埋め、改革を加速させていかなければならない。
私が事務局長を務める「公務員給与改革断行を求める会」も、今日、9月28日、選挙後初の会合を開き、活動を再開した。本年の人事院勧告は、
○国家公務員基本給を全国一律で5%引き下げ。
○その代償措置として、民間企業の給与水準の高い地域での地域手当(3%~18%)等(東京都など)の創設
○昇給カーブのフラット化(若者に手厚く、中高年公務員の給与を下げる等)、給与への勤務実績の反映などの給与構造改革
などを柱とするもので、民間から見れば、「何だその程度か」という声はあるかも知れないが、従来の人事院勧告と比べると、相当突っ込んだ内容になっていることも事実だ。