震災復興の加速化のために~予算委員会での質問
2013-3-23
3月13日の衆議院予算委員会。東日本大震災からの復興をテーマにした集中審議が行われ、私の質問が、3年10ヶ月ぶりにテレビ中継された。
私は、本年1月から、自民党内に置かれた東日本大震災復興加速化本部(本部長・大島理森前副総裁)の事務局長を務めている。
そして、この2月間、集中的に被災地の方々からの意見・要望を聞き、政府として、あるいは政治として、今何をなすべきかをとりまとめ、3月6日、安倍総理に対し、緊急提言を行った。
この日の質問は、今、復興の隘路となっている具体例を、法律的な課題、予算的な課題、コミュニケーション不足の課題という3つの側面から取り上げ、政府として、あるいは国会としてなすべきことを、国民の前に明らかにするという意図で行ったものだ。
このうち、法律面の課題と予算面の課題について述べる。(法律面の課題)
まず1例として取り上げたのは、相続の問題だ。
津波で被災した地域の方々が、集団で高台(多くの場合山林)に移転したり、津波で被災した海岸に防潮堤を設けるなどの具体的な復興事業は、発災を2年を経過したが、今ようやく緒についたばかりだ。
その中で、被災地の自治体から、「所有者不明の土地を、自治体で処分させて欲しい」という要望が多く寄せられていた。
ただ、所有者が震災により行方不明になった場合には、その法定相続人が相続できるわけで、「所有者不明の土地」とはどういうことなのか、少し調べてみることとした。
調べてみると、このような山林は、財産的な価値が必ずしも高くないことから、相続手続きが行われず、例えば明治時代に亡くなった方が登記名義人になっている場合が多いことがわかった。
すなわち、必ずしも「所有者不明」というわけではないが、法廷相続人が多数(数十人?)にも上り、しかも全国に散らばっているということもあるようだ。
このような場合、現行法でも、勿論相続人すべての協議が整えば、この山林を処分することができるわけだが、これには当然時間がかかる。
協議を整わせるため、相続人それぞれについて、弁護士や司法書士の方を頼んで「不在財産管理人」を選任するという制度もあるが、そもそもそれだけの数の弁護士さんたちは、被災地にはいない。
そこで、この日の質問では、立法的な措置により、例えば1人の弁護士等が、被災地外に居住するすべての相続人の代理ができるようにするなど、迅速かつ簡易な方法で相続を進めるという方策も検討すべきことを提案した。
このように、私たちは、単に被災地の要望にそのまま応えるだけではなく、問題の所在を把握し、的確な対応策は何かということを、考えていく必要がある。
(予算面の課題)
次に、予算面の課題として取り上げたのが、店舗や工場の再建のための予算措置だ。
これについては、前政権の時代、「中小企業等グループ補助金」が予算化され、すでに8千件が採択されている。
ただ、現在被災地では、資材単価や労賃が高騰しており、この補助金が予算化された時点では、この値上がり分が反映されていなかったため、結果として、被災者の方のご負担が増大するという問題が生じつつある。
8千件について、再査定すべきではないかという意見もあろうが、そのような膨大な事務負担を被災自治体に求めるにはかなりの無理があるし、そもそも低い単価で積算された予算総額の制約もあろう。
このため、この日の質疑では、当面、無利子の融資制度があることを被災者の方に徹底し、これを活用していただき、しかる後、公平性の観点に配慮しながら、被災者の方の負担が増大した分に見合うような新たな予算措置を検討すべきことを提案した。
現在復興予算としては、25兆円という総枠が設定されているが、政治の責任として、これを超えざるを得ない必要が生じた場合には、現場でスムーズな運用がなされるように配慮しつつ、積極的に対応していくことが必要と思う。
(政治の責任)
3月13日の質疑の全てを紹介できたわけではないが、私は、3月6日の緊急提言のとりまとめに当たり、国会議員の責任、政治の責任とは何かということを考えさせられた。
「被災地に寄り添う」ためには、被災地に赴き、話を聴くことがきわめて大切だ。しかし、その模様を自らのホームページに載せることで終わらせてはならないと思う。
国会議員である以上、やはり、聴き取った1つ1つの声を、法律や予算に反映させていくことが大事なのではないかと思う。
そして、政党、特に与党は、行政にはできないような、柔軟な発想と推進力を持って、政府との役割分担のあり方を考えながら、復興加速化のエンジンとなっていかなければなるまい。