統治能力を失った民主党政権~直ちに国民の信を問い、新たな政権を創れ
2012-6-30
6月26日、いわゆる消費増税法案が衆院を通過、採決に当たり、民主党は大量造反者を出し、事実上の分裂状態に突入した。野田首相らは、「2009年マニフェストに掲げた施策を少しでも実現するためには、マニフェストには書かなかった増税をお願いせざるを得ない」としているが、反対派は、「ムダを省けばいくらでも財源がある」としてきたかつての主張には一切触れず、「増税法案はマニフェスト違反」の一点張り。
どっちもどっちという気がする。
今我が国を取り巻く環境は、領土問題、北朝鮮問題、ユーロ危機問題、緊迫する中東情勢等々大変厳しいものがあり、さらに、震災復興、デフレ脱却、エネルギー問題等、国内の大きな課題も、残念ながら、何も進んでいない。
それなのに、政権党がこの体たらくでは、我が国の衰退が加速するのは必定だ。
以下、消費増税法案に対する私の立場を明らかにしつつ、国民の信任を受けた新たな政権創りの必要性について述べてみたい。○マニフェスト詐欺を棚に上げた造反派の主張
報道によれば、小沢一郎・元民主党代表らは、次の選挙で、「反消費税・脱原発」を掲げれば、勝つ可能性が高いと踏み、今回の行動に出たと言われているが、選挙に勝つことだけを考えたら、戦術的に正しい選択かもしれない。
すなわち、私も含め、納税者にすれば、誰でも税金が上がるのはいやだ。
しかし、各政党は、自公政権・民主党政権を通じ、国の借金を増やしてきてしまった責任を痛感し、国民に対し、謝罪と説明を行わなければならないと思う。
すなわち、平成21年度当初予算(麻生内閣)の基礎的財政収支の赤字は約12兆円、私は、自公政権が、毎年12兆円の赤字体質を作ってしまったことは率直に認めなければならないと思う。
ただ、その後さらに赤字が拡大した。
平成21年の民主党への政権交代後、平成24年度当初予算(野田内閣・震災関連費用は除く)での基礎的財政収支の赤字は約24兆円。
民主党政権によるバラマキで、毎年12兆円分、赤字体質が拡大したということだ。
このように、毎年の財政赤字体質を作ったのは、自公政権、民主党政権がそれぞれ12兆円ずつ(消費税約5%分)ということになる。
民主党政権で、首相、幹事長、大臣、副大臣、政務官などの要職にいた議員が、財源を見つけられなかった自らの責任や、バラマキで赤字を増やした自らの責任(マニフェスト詐欺)を語らないまま、増税反対を言いつのるのは、非常に奇妙だ。
彼らは、具体的な財源の手当をどうするか、明確に示さなければ、選挙目当ての反対と言われても仕方あるまい。
○この2年間、徹底した景気対策と行政改革が必要
私は、色々理由があるとはいえ、ここまで財政赤字が拡大してしまった以上、最終的には、国民負担をお願いせざるを得ないという立場だ。
すなわち、かつての民主党、あるいは「みんなの党」が主張するように、特別会計等を見直せば、いくらでも財源が見つかると言うことはあり得ない。
このことは、国会議員や国家公務員を全て無給にしても、毎年5.5兆円、消費税約2%分しか捻出できないことからも明らかで、このような主張は、極めて無責任と思う。
ただ、深刻なデフレ経済の状況で消費税率をアップすれば、経済に決定的なダメージを与えかねないことも事実で、これは政策としてやるべきではない。
また、置き去りにされた感のある「身を切る改革」もさらに力を入れねばなるまい。
今回衆議院を通過した法案も、2年後の消費増税の条件として、経済状況の好転をあげているが、このことは、政府が、今後2年間、景気対策と行政改革に全力を挙げなければならないということを意味する。
それができなければ、そもそも消費増税など成り立たないし、我が国は、財政破綻への道を辿ることになりかねない。
○景気対策・行政改革のメニューを争点に国民の信を問え
民主党政権成立後、「景気対策」という言葉が聞かれなくなって久しい。
公共投資を削減してばらまいた「こども手当」などは、結局貯蓄に回り、世間にはお金が回らなくなった。
震災復興需要は、景気浮揚の起爆剤となり得たものだったが、民主党内の混乱で、補正予算の成立や復興庁の設置は遅れに遅れ、V字回復につながる予算執行が滞り、千載一遇の機会を逸した。
これでは被災者に申し訳ない。
そもそも、企業活動等を活性化し、給与を増やすことで総需要の拡大と景気回復を図ろうとする私たちと、有権者にお金を給付することで個人消費を増やそうとする(結局貯蓄に回ってしまった)民主党とでは、景気対策のアプローチが全く違う。
また、行政改革の方向性についても、官公労を支持母体とする民主党には、結局有効な公務員制度改革ができないことも、明らかになったように思う。
私には今、国民が、バラマキの継続による景気対策と、公務員への労働基本権付与等の行政改革(?)を望んでいるようには思えないが、民主党政権が、このような政策の継続を求めるならば、来年度予算の編成前に、しっかりと国民の信を問うべきだ。
6月18日、谷垣総裁出席の下、自民党本部で開催された3党合意に関する意見交換会でも、私から、「自民党は、来年度予算での、景気対策と行政改革のメニューを具体的に示し、民主党政権でのお金の使い方との違いを明確に示した上、来年度予算の編成前に、しっかりと国民の意見を聞くべきことを迫るべき」と発言した。この2年10ヶ月、我が国の政治は、残念ながら非常に停滞してしまった。
我が国社会を再び発展と成長のステージに乗せるためにも、私たちは、今まで培った知識・経験・能力を総動員していかなければなるまい。