沖縄県民の方々との信頼関係再構築を
2010-5-7
5月4日、鳩山総理が沖縄を訪問、昨年の総選挙で、普天間基地機能の移設先を「最低でも県外」とした発言は、「党の考え方でなく、党代表としての発言」であるため、「公約」には当たらないとし、沖縄問題における現政権の迷走ぶりを印象づけた。鳩山由起夫氏は、いみじくも、総理大臣としての資質に問題があることを自ら露呈したわけだが、このコラムでは、鳩山氏に対する非難を書こうとは思わない。
私は、鳩山総理との会談に臨んだ仲井真・沖縄県知事の映像を見て、3年半前、仲井真候補の応援のため、石垣・宮古の両島を訪問したことを思い出した。
3年半前の知事選は、普天間基地機能の条件付き県内移設もやむなしとする仲井真候補(自・公推薦)と、県内移設反対の糸数候補(民推薦)の戦いだった。当時の与党として、沖縄に過重な基地負担をお願いする以上、しっかりとした沖縄振興策を示さなければならない。
ただ、3年半前は、国としては、借金を増やさないための構造改革を進めている最中で、余り気前の良いことも言えない。
そこで、現地の要望をしっかり受け止める姿勢が大切ということで、自民党の畜産・酪農対策小委員長だった私が、畜産業の盛んな石垣・宮古両島に伺い、意見交換をして来いということになった。
石垣島でも、貴重な意見交換を行うことができたが、ここでは、写真にも載せた宮古島のことを書く。
宮古島は沖縄県の西部に属する平坦な島で、その土地利用は、3分の1が肉牛の牧草地、3分の1がサトウキビ畑、3分の1が葉タバコ畑といったところだ。
サトウキビが沖縄県の主要な作物であることは良く知られているし、畜産・酪農小委員長として、宮古島が子牛を多く生産していることは予備知識を持っていたが、葉タバコが、それと同等の位置を占めていることには、正直驚かされた。
意見交換は、主として畜産・酪農対策について行われ、何点かの要望をいただいたが、具体的な内容は省略する。
その中で感じたのは、沖縄返還にも尽力し、わが国の畜産・酪農政策をリードしてきた故山中貞則元衆議院議員の、沖縄振興のために注いできた情熱が、現地の方々に間に、感動すべき思い出として脈々と息づいているということだった。
宮古島の皆さんの要望には、もとより具体的な要望もあったが、要は、「葉梨委員長も、山中先生のような信頼できる議員になって欲しい」というもの。
かつての自民党には、山中先生のように、沖縄県民から信頼される政治家が数多くいた。
だからこそ、当時、普天間の移設先を県内とするガラス細工のようなプランが、県民からも一定の支持を得ることができたのだろう。
私も、このような先輩をしっかり見習わなければと思ったことを、昨日のように覚えている。
そして、石垣・宮古の訪問は、翌年と翌々年、主として離島における子牛の価格が暴落した際、畜産・酪農対策小委員長として、実質上価格を下支えする緊急の対策を推進するモティベーションとなった。
また、特に宮古島の訪問は、私に、タバコ税増税への慎重な姿勢をとらせることとなった。
確かに、私自身は8年前に禁煙し、個人的には、タバコの値段が高くても、被害を受けることはない。
ただ、宮古島に限らず、葉タバコが、特に離島における貴重な収入源となっている現状では、タバコ税を急激に増税するのはいかがなものかと思うようになった。
やはり、税金は上げれば良いというモノでなく、代替作物の見通しをしっかりつけるなどの対策が必要だろう。
そういえば、民主党政権は、ろくな議論もせずに、こども手当などの財源のため、タバコ税の大幅増税を決めてしまった。
民主党政権は、基地問題も迷走したが、沖縄振興の問題にしても、現地の方々との信頼関係を築くとができるのだろうか。
私には疑問に思う。
やはり、一刻も早く政権を交代させ、政府与党と沖縄県民の方々との信頼関係を再構築することが必要ではないか。