日本はどこまで後退するのか(1)~「バラマキに手を染めた『古い自民党』」に輪をかけた民主党
2010-3-25
3月24日、過去最大の92兆円規模の平成22年度予算が成立した。民主党政権の予算の目玉は、こども手当、農業者戸別所得補償など、有権者に直接現金を配る施策のほか、高校授業料無償化、高速道路の一部無料化など、所得の高低にかかわらず、有権者の負担を一律に棒引きするというもの。
このようなバラマキ型の施策は、やる気があり努力した者もそうでない者も、一律に給付を受けることができ、結果として、真面目に努力した人間がバカをみることになりかねないだけでなく、余りに一律すぎて、「親の所得は低くともやる気のある子供」などに、手厚い給付を行うことを妨げる政策だ。
もっとも、国にカネがあり余っているなら、「どうしてもダメダ」と目くじらを立てることもないかも知れない。
しかし、民主党政権は、今回のバラマキ予算を編成するため、昨年当初よりも13兆円も多い、44兆円強もの国債を発行してしまった。
これでは昨年の総選挙時とは話が違うし、真面目に努力した人間が報われないばかりでなく、将来世代に大きなつけを遺してしまう。
私は今、「日本はどこまで後退するのか」という危機感を抱いている。(自助努力を促してきた本来の保守政治)
戦後の日本の成長は、勤勉な日本民族が、自らの意思で、真面目に働くことによって支えられてきた。
所得倍増政策を掲げた故池田勇人元総理も、あくまで、「真面目に働くことによって豊かになる」ことを目指したのであり、「貧乏人は麦を食するという考え方もある」と発言する厳しさを持ち合わせていた。
まさに、「天は自ら助くる者を助く」ということだろう。
そして、当時貧乏だった日本人は、真面目に働き、次第に貧困は解消されていった。
さらに、旺盛な技術開発を進めることなどで、第2次オイルショックから世界でいち早く立ち直り、世界経済の機関車と言われるまでの存在となっていった。
(「バラマキ」に緊急避難した「古い自民党」)
しかし、中曽根政権後、わが国経済は財テク偏重の技術革新・もの作り軽視、そしてその後のバブル崩壊と、思わしくない方向に進んでいく。
政府が借金を増やし、財政出動を行い、必ずしも必要でない支出を行い、強制的に需要を作り出すことにより、構造不況業種に対しても、何とか仕事を作り出すことで、失業の拡大を防ぐハメとなる。
当初は緊急避難的な発想だったが、これが結構長く続いてしまった。
そして、この時期の政策は、個々の事業の必要性を検証すれば、ある意味で、「バラマキ」ということができる。
私は、政治家が地元から陳情を受け、それを実現することを否定するつもりはない。
ただ、「古い自民党」ということで批判されたのは、不必要な支出までも政治力で実現し、そこに「癒着」といわれるものが起こり得てきたということだと思う。
私たちは、国の財政が逼迫する中、いわゆる「古い自民党的色彩」とは、絶対に訣別しなければならない。
このような「バラマキ」が続き、国の借金は、悪夢の千兆円(国民の金融資産総額)を超過しかねない危険水域にまで膨らんでしまった。
そのバラマキ路線との訣別を宣言したのが、小泉純一郎元総理だった。
次回コラムでは、その「小泉改革」への評価(光と影)と、今の民主党政権が、もしかしたら、「古い自民党」よりもタチの悪いバラマキ政策に手を染めつつあるのではないかということを述べる。