国民に開かれた自民党を~党改革実行本部答申案をとりまとめ
2009-6-28
6月11日の自民党本部。武部勤・本部長以下、自民党党改革実行本部(旧政治改革本部)の役員5名により、麻生総裁に対する党改革に関する答申を行った後、記者会見を行った。
本年2月の麻生総裁からの諮問(候補者公認のあり方、議員定数のあり方、国会活動のあり方等)を受けての答申で、その内容は、非常に多岐にわたるものとなった。
私は、最初の段階では、この作業に関わっていなかったが、3月末、事務局長を務めていた石田真敏衆議院議員(当選3回)が財務副大臣に転出、事務局長が事実上空席になったのを受け、急遽事務局次長に指名され、実質上のとりまとめを委ねられることとなった。
本年3月は、政党助成法の改正、日本年金機構法の改正、国家公務員の夏季ボーナスカットの検討、といった作業が同時並行的に始まり、いずれの仕事でも私がとりまとめ役を担っていたため、時間の使い方には相当な工夫が必要だった。
さて、この党改革実行本部の答申については、いわゆる「世襲制限」の問題に焦点が当たりすぎ、マスコミの取り上げ方もバランスを欠いていたのではという印象がある。
そこで本日は、私たちがとりまとめた答申の骨子について書いてみる。まず、「候補者選定システム」の問題。
いわゆる「世襲候補」の問題については、「現職国会議員が引退した場合、親族は同一選挙区からの立候補を禁止すべきだ」、「地盤・看板・カバンがなくても良いようにすべきだ」など、いろいろな意見がある。
特に新人が立候補する場合、特定の者が有利になるのでなく、公平な選考システムにより、優秀な人材を登用することは、非常に大切と思う。
ただ、国会議員の息子が故郷を良くするために国政を志した場合、果たして、「故郷を捨てること」を強制するのは、本当に良いことだろうか。
また、昨今は、党営選挙で、ブランドも、資金も、党が提供することが多いわけで、2大政党の公認を得さえすれば、国会議員の親族でなくとも、その人は、その時点で、「地盤・看板・カバン」を持っているとも考えられる。
だとすれば、やはり、党の公認段階で、いかに透明、かつ、公平な選抜を行うかということが、決定的に重要になってくる。
ひるがえって私の場合は、葉梨信行元衆議院議員の女婿に当たるが、立候補を志した当時、複数の公認申請者があり、茨城県連選挙対策委員会でそれぞれがプレゼンテーションを行い、投票の結果、小選挙区での公認を得るというプロセスを経た。
今回の答申では、2世、3世だからといって特別扱いすることはせず(これまでは、往々にして、引退する国会議員が、その影響力を利用して後継指名を行うことがあった。)党本部主導の透明、かつ、公平な選抜を義務づけることとした。
これにより、結果として、いわゆる世襲候補は、大幅に減っていくことと思う。
次に、「政治とカネ」の問題。
小沢一郎前代表の秘書による西松建設からの違法献金事件を受け、民主党は、今回の総選挙のマニフェストに、「3年後の企業団体献金の禁止」を盛り込んだという。
ただ、西松事件をきっかけにこのような方針を打ち出すことには、相当な論旨のすり替えがある。
すなわち、個人の政治団体に対する企業団体献金は、今でも禁止されており、脱法的方法を用いて西松建設からの企業献金を受け取ったことが、今罪に問われているわけだ。
だから、まずは脱法的方法による法のすり抜けができないようにするため、法規制のあり方を見直すのがスジだ。
個人後援会に違法な寄附が行われるという事件があったからといって、現在認められている政党に対する企業団体献金を禁止し、また、そのことによって足りなくなる政治活動のお金を、政党助成金(税金)の積み増しによって賄うということが、本当に国民の理解を得ることができるだろうか。
これでは、今回の事件の本質も良く分からなくなってしまう。
このため、答申では、選挙目当ての拙速な議論ではなく、企業団体献金のあり方や、脱法行為を防ぐための仕組みについて検討を加え、1年以内に結論を得ることとした。
さらに、今後の「国会のあり方」の問題。
国会議員の定数は、やはり削減すべきだと思う。
有識者の意見も聴きながら丹念な議論を経た上、答申では、今後10年で、国会議員定数の3割削減、すなわち、衆参両院議員あわせて総数500人を目指すことを明記した。
ただ、検討の過程で、ここまで定数を切り込んだ場合、現行の2院制のままで、衆参両院がしっかりした審議を行うことができるかどうか、疑問が呈せられた。
国内外の情勢も急激に変化している現在、国会も、スピード感のある対応が求められる。
このため、私たちは、新たな1院制国会の創造も選択肢としていく必要があると考えるに至った。
もとよりこれには憲法改正が必要ということになるが、答申では、この問題についても幅広い検討を行うべきことをしっかり明記した。
その他、今回の党改革実行本部の答申は、国民目線の開かれた自民党を創るため、多岐に亘る論点について検討を加え、提案を行った。
マスコミは、やれ「小泉ジュニアはどうなる」、「武部発言がブレた」などと、面白おかしく報道し勝ちだが、私も、記者レクにはずっと同席していたが、武部勤・党改革実行本部長(元幹事長)の発言は、ずっと一貫していた。
それよりも、有識者から丹念に意見を聴きながら、答申案を取りまとめた私たちの地道な活動に対し、マスコミの皆さんも、もっと目を向けていただきたいものだ。