「報道ステーション」の不適切報道~TV朝日が訂正・謝罪放送

2007-5-16

お詫びコメントを放送する河野明子アナ

5月14日の報道ステーション、国民投票法案に関し、河野明子アナウンサーが、次のような「お詫び」コメントを読み上げた。
「5月9日の国民投票法案を巡る公務員の地位利用についての放送について、お詫びがあります。
自民党・葉梨康弘衆議院議員の4月19日と5月9日の答弁について、教育者の特定の発議案に対する意見表明の部分を『全く逆の答弁』とお伝えしました。
しかし、葉梨議員の発言自体を改めて精査しましたところ、全体の趣旨では一貫しており、『全く逆の答弁』との表現は不適切で、誤った印象を与えかねないものでした。
視聴者の皆様及び葉梨議員にお詫び致します。」
何故5月9日の報道が不適切かという点については、前回コラムでも述べたが、今日は、この「お詫び」の経緯について述べてみたい。私も、5月11日午前1時、こちらから、弁護士を通じて通知書を送付し、交渉ごとは弁護士の先生に任せていたため、どのような正式回答になるのかどうか決まっていない段階で、私が、コラムやブログを発信することがいいのかどうか、実は悩んでいた。
確かに、TV朝日の側からは、5月12日午前0時、一旦「虚偽報道ではない」という回答はあったことは事実だが、その場で、先方から、「さらに相談したい」との説明もあったということだったため、弁護士の先生の示唆もあり、当方からは、このような内容の回答があったことについての公表を控えていた。
ところが、5月12日の各紙夕刊に、私もびっくりしたが、TV朝日からのリークと思われるが、「本件は虚偽報道でないと回答済み」との記事が載っていた。

これを見ては、「何だTV朝日はとことん戦うつもり」と思わざるを得ない。だからこそ、前回のコラム「電波を利用した暴力」という記事を書かせていただき、先方の回答についても、一部触れさせて頂いたわけだ。

ただ、今回の報道については、特段のバックグラウンド取材や独自取材は行われていなかった(単なる答弁のつぎはぎ)。
報道が適切か否かは、議事録を見れば全て分かるわけで、TV朝日も、どうも、議事録を見ると明らかな不適切報道ということに気付いたらしい、全面的にその非を認めることになった。

5月14日、TV朝日「報道ステーション」エグゼクティブプロデューサー上松道夫氏から、自民党報道担当副幹事長・松浪健四郎氏及び私に対して送付された回答書の全文は、次の通りだ。

「前略5月11日付でいただいた通知書にお答えいたします。
お示しの期限(5月11日正午)に遅れたことをお詫び申し上げます。
なお、通知書は弊社社長宛てでしたが、担当の私からご回答いたします。ご了承下さい。

「報道ステーション」では、参議院日本国憲法に関する調査特別委員会における国民投票法案をめぐっての葉梨康弘議員の4月19日と5月9日の2回の答弁について、教育者の特定の発議案に関する意見表明の部分を「全く逆の答弁」と表現しました。

しかし、私どもでは、葉梨議員の2回(4月19日、5月9日)のご答弁について、改めて議事録を精査しましたところ、ご発言の趣旨は一貫しており、「全く逆の答弁」との表現は不適切であり、視聴者に謝った印象を与えかねないものでした。
この点に関し、葉梨議員及び関係者の方におわび申し上げます。
また、この件の協議中に一部メディアに本件に関して報道((注)TV朝日が「虚偽報道でない」と回答したことについての報道の意味)されるなど、葉梨議員はじめ関係者のみなさまにご迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げます。

「報道ステーション」では、今後も国民投票についての視聴者の理解を、より深める報道をしてまいりたいと考えております。よろしくご協力を賜りますようお願い申し上げます。
草々」

何の根拠もないのに、放送局の誤解(悪意?)に基づいて、「嘘つき」と報道され、その報道を看過していたら、私自身が、政治生命を失うことになってしまうことになっていたかも知れない。
党としてだけでなく、一政治家としても大問題だ。
今回はこれで了とするも、勿論釈然としない気持ちも残る。
TV朝日には、是非、しっかりした事実に基づいた、公正な報道をお願いしたい。