電波を利用した「暴力」~目に余るTV朝日「報ステ」の虚偽報道
2007-5-14
5月11日、与党提出の「憲法改正国民投票法案」が、参議院の委員会で可決され、5月14日にも成立の運びとなった。法案成立についてのコラムは、その時点で掲載していきたいと思うが、今日は、委員会審議に関する報道のあり方、特に、ウソやでっち上げの「虚偽報道」が許されて良いのかということについて、書いてみたい。
委員会最終日は、安倍総理も出席して質疑で、NHKのTV中継も入ったが、その中で私は、「5月9日のTV朝日『報道ステーション』の中で、私の教育者の地位利用に関する答弁が矛盾しているかのような虚偽報道があり、訂正放送を申し入れている。」旨答弁し、国民に向けて、TV朝日に「虚偽報道」があったことを明確にさせていただいた。
経緯はこうだ。私達が提出した「憲法改正国民投票法案」は、行政罰ではあるが、「教育者」による「地位を利用」しての「国民投票運動」(投票の賛否の勧誘)を禁止している。
質疑の中では、度々、何が「地位利用」なのかということが問題となったが、禁止されることとなる「教育者の発言・意見表明」は、法案からも、「国民投票運動」に当たるものが禁止されることことは自明ということを前提に、ずっと答弁させていただいていてきた(この旨は、5月11日の委員会審議でも申し上た。)
その中で、私は、4月19日、教員が、生徒に対する教育課程を利用すれば、それは「地位の利用」に当たるでしょうと言う意味で、「発議をされた後に、例えばカリキュラムの中で、例えば社会科というような形で、それで、それについて当然試験もありましょうというときに・・・特定の憲法の発議案について、これは明確に駄目だというような形での表明は、それはいかがなものだろうというふうに思います。」と答弁した。
ただ、この答弁が、単なる意見表明について答えたものでないことを明確にする意味で、私は、これに続けて、「先ほど私申し上げましたのは・・・特定の改正発議案について、こちらを投票すべきだ、これはいけないことだというようなことを教育課程の中で言っていくというのは、これはいかがなものであろうかということ」と説明し、その意味は誤解のしようがないものと思っていた。
ところが、5月9日のTV朝日は、私の発言中、「特定の憲法の発議案について、これは明確に駄目だというような形での表明は、それはいかがなもの」という部分のみを切り取り、私が、「具体的な憲法改正案について意見を言うのは禁止すべきだという答弁」(そんなこと考えていない!!)をしたと、多分故意に、答弁者の意図をすり替えた「虚偽報道」を行ったわけだ。
さらに、5月9日には、「教育課程」が、「地位利用」に当たるか否かという議論ではなく、禁止されるのは、「単なる意見の表明」でなく、「国民投票運動」にわたる表明であることを明確にする趣旨で、「必ずこれを投票しなさいよというようなことを影響力をもって行えばそれは駄目だろうけれども、今回の改正発議案は余りよろしくないねというような意見の表明をすること自体が、・・・禁止されていると私は考えておりません。」と答えたわけだが、これも、4月の答弁と、全く同じことを言っているに過ぎない。
だが、TV朝日は、私の発言中、「今回の改正発議案は余りよろしくないねというような意見の表明をすること自体が、禁止されていると私は考えておりません。」という部分のみを切り取り、「3週間前とは、全く逆の答弁」をしたと、多分故意に、私がウソをいっているかのような、でっち上げ報道を作り上げてしまった。
当然のことながら、このような明かな虚偽報道は看過できない。ビデオテープや会議録などを精査の上、5月11日午前1時、松浪副幹事長と私の連名で、TV朝日に対し、訂正放送を行うことを強く申し入れたわけだ。
実は、TV朝日からの回答が、5月12日の午前0時に来た。
中身は、「葉梨議員のご見解が、『特定の発議案に対して投票を勧誘することはできない』という点において一貫していることは私どもも理解しております。(中略)放送は、「逆の答弁」自体を問題にしたのでなく、法案に不明確な部分があることを紹介したものです。この点につき、ご理解賜りたい」として、「虚偽報道ではない」と主張するという、まさにわけの分からない代物。
我々が、表現の仕方を工夫して分かりやすく答弁しようという努力をしても、TV局は、適当に答弁を切り取り、「全く逆の答弁」などという、個人に対する誹謗中傷報道をしても良いのだろうか。
また、そもそも、国民投票法案は、今国会の最重要法案であり、与野党対決法案だ。
委員会で、答弁者が「全く逆の答弁」などをしようものなら、審議がストップするのは必定だ。
ところが、私の発言は、委員会では全く問題とならなかった。TV朝日は、問題としなかった野党の委員の方々の目が、「節穴」だとでも思っているのだろうか。
いずれにせよ、このようなTV局が、国民投票法案についての論評や報道を行う資格があるのかどうか、まさに「いかがなものか」。