改革か停滞か~小泉郵政解散の意義
2005-8-9
8月8日、郵政民営化関連法案が参議院で否決され、小泉総理は衆議院を解散、政局は総選挙に突入した。
○改革の継続か、耳障りの良い政策による改革の停滞か
今回の解散は、郵政民営化問題も含めた構造改革を進めるべきか、これをストップさせ、改革を停滞させるべきかということが争点だ。
内外に諸課題が山積する中、これから進める改革には、今まで以上の痛みが伴う。
例えば、社会保障改革、1000兆円の借金を抱える中で、高齢者の方にも、一定のご不便をかけていくことになる。
さらに、公務員制度改革、公務員の給与について、大幅な見直しを行うから、当然公務員のご家庭からは不満も出よう。
改革を進めるには、皆に良い顔はできない。
しかし、わが国の生き残りのためには、やはり改革推進は必須。
それなのに、郵便局長さんや労働組合員に、一時つらい思いをさせるからといって、法案自体を葬り去るようで、民主党や自民党造反組は、本当に、社会保障、公務員制度などの大改革に取り組めるのだろうか。
○「中身の議論」が忘れられた郵政法案採決
私はもともと、国民負担を少なくするため、山間へき地も含めた郵便局ネットワークを、国民の財産と位置づけ、維持することを前提として、郵政民営化は必要という立場。
でも、今回の法案の国会審議では、「何故郵政民営化が必要か」という中身の議論でなく、結果としても与党の一部の方々は、「面子」や「怨念」で反対されることになった。
そして、野党民主党の質疑も、竹中大臣のスキャンダルなどに終始。
政策論争が脇におかれてしまった国会の状況に、私自身、正直、寂しさや憤りを感じている。
○新生自民党こそが真の改革の担い手
時計の針を後戻りさせないためには、やはり、新生自民党を作り、しっかりと政策の中身の議論をしていくことが必要だ。
自民党内も、「面子」や「怨念」はもうたくさんだ。
そして、民主党はというと、郵政法案の審議を見ていても、対案も出さず、スキャンダルの追求に血眼で、はては、「千載一遇のチャンス」と、口をアングリあけてタナボタの政権獲得を目指している。
しかも、自民党は、選挙でお世話になっている特定局長会のしがらみを振り切って、たいへん辛い思いをしながら、郵便局ネットワーク維持のための改革に挑戦した。しかし、民主党は、抵抗勢力である労働組合に唯々諾々。
これでは民主党に政権を担わせるわけにはいかない。
真の改革の担い手として、我々改革を志す若手の力を結集し、新生自民党を作ることこそが必要だ。
○「国民の声を聞く」方法は総選挙しかない
また、「参議院で否決されたから衆議院を解散することはおかしい」という議論もある。
一見もっともらしいように聞こえるが、これは間違い。
実は、立法府(国会)と行政府(内閣)の意見が食い違った場合の手だては、憲法上、「衆議院の解散」と「内閣総辞職」の2つしかない。
すなわち、憲法に「参議院の解散」の規定があれば別だが、立法府に国民の最新の意思を反映させるためには、衆議院の総選挙という手段のほかに手だてはない。
これからの難しい諸課題に、わが国が強力に対処するためには、改革の継続か、停滞か、ここでしっかりと、国民の意思を明らかにして頂く機会を持つことは、大切なことだ。
私は、今回の解散の持つ大きな意味を、是非選挙民に訴えていきたい。