民主党が起きてきた~審議拒否と議事放棄の実態

2005-6-2

民主党が起きてきた。

ある日の民主党席(自民党委員質問中)

国会用語で、「寝る」とは、野党の審議拒否のことを言い、審議拒否をやめて審議入りすることは「起きる」と言う。
民主党は、5月20日から、「郵政民営化法案には問題がある」ことを理由に、特別委員会の設置に反対、法案出し直しを要求して審議拒否(職場放棄)を続けてきた。
しかし、法案に問題があるなら、言論の府である国会の場で、問題点を堂々と明らかにすれば良い。当たり前のことだ。
形勢不利と見たのか、格好ばかりの合意書を作り、与党の譲歩も引き出せずに決着、6月1日の議院運営委員会から審議に復帰した。
11日間の職場放棄は、一体何だったのか。
ただ、民主党の皆さん、起きてくると、良く「与党は議事を放棄して委員会に出席してこない。緊張感がない。」と、さも与党が不真面目のように言われる。
でも、自分たちの議事放棄も相当なもの(写真)。
今日はそこらへんの実状を書いてみよう。

まず、民主党が、自民党の議事放棄を非難した新聞記事(4月7日)の引用。
「衆院財務金融委員会(40人)で6日午後、出席議員が定足数(委員の半数)を割り審議がストップ、そのまま散会した。
自民党の委員の半数以上がいないことに、野党側が抗議して退席。緊張感を欠く自民党の姿勢が問われそうだ。
民主党筆頭理事らは国会内で会見、委員長を除き20人の自民党委員のうち、13人が不在と指摘、『同じ時間に行われていた自民党郵政合同部会(への出席)のせいかどうかは分からないが、心ここにあらず。小泉内閣と自民党の泥仕合を延々とやっている。与党による議事放棄だ』と強く批判した。」

でも、私たちは、無理をしてでも真面目に出席しているつもり。
衆議院議員は、1つ以上の常任委員会に属さなければならず、大抵は複数の委員会に所属している。
私自身、国土交通と文部科学の常任委員会のほか、常設の調査会である憲法調査会、さらに、青少年特別委員会の委員もしており、都合4つの委員会のメンバーだ。

そして、同日同時刻に複数の委員会が開催されることは日常茶飯。
国会法56条では、委員会の議事を開くときと議決するときの定足数を2分の1以上と規定している。しかし、掛け持ち状態になると、開会と議決の間の審議時間についてまで、2分の1以上の出席者を確保するのは、実は至難の業。
そこで、まあ常識の範囲として、審議については、憲法49条に規定する本会議の定足数である3分の1以上の委員の出席を確保するようにしているようだ。

ただ、問題は、定足数割れを理由に審議のストップを求めるのは、与党でなく野党の側。
与党の方が、野党の欠席を理由に審議を止めてしまっては、審議は先に進まない。
だから、野党議員は、いくら欠席しても文句を言われることはなく、特に、与党議員質問時の出席率は、正直言って大変悪い。
写真を見て欲しい、自民党議員質問中のある日の委員会。民主党委員17名中出席議員は2人だけ。
出席率は何と1割。
「つまらない」質疑にはつきあわず、自分の好きなことができる。良い身分だ。

ひるがえって我々、この国会も、郵政民営化関連法の審議が最後のヤマだが、それでも、最近やっと、時間的に少し落ち着いた感がある。
でもこれまでは、結構忙しかった。
郵政合同部会への対応も勿論あったが、それだけではない。
1月から3月は、党の新憲法起草委員会がほぼ毎日開催され、私も起草委員として論陣を張った。
さらに、2月から5月までは、公務員給与改革断行を求める若手議員の会の事務局長として、緊急提言とりまとめの作業に当たった。
加えて、3月から4月にかけて、探偵業新法の法案を書き下ろし、今も各党への説明に当たっている。
でも、野党に審議ストップの口実を与えないため、我々若手議員は委員会審議が最優先、何党の質問でも、欠席というわけにもいかず、時間のやりくりは極めて大変だった。

審議のためとはいえ、とにかく与党の若手がかりだされ、その一方で、よそさまは職場放棄・議事放棄のしほうだいでは、正直割に合わない。
特に、この定足数の問題、もっと柔軟に考えるようにしてもらわないと、真面目にやっている議員の体がもたない。