日中関係の行方~中国全人代常任委員とストレートな意見交換

2005-4-20

今日は、反日暴動の続く中国の国会議員との対話の話題。

列国議会同盟ASEAN+3会合(H17.4)

4月19日から、世界の国会議員で構成する唯一の国際機関である列国議会同盟(IPU)の、(東南アジア諸国連合)+3(日中韓)の会合が、日本をホスト国に、東京で開催された。
今、中国では反日暴動、韓国では竹島問題と、日中韓3国の関係は極めて微妙。
それでも、中韓から代表が派遣され、開会前の4月18日夜には、瓦力(元防衛庁長官)日本代表団団長主催のワーキングディナー。
私のテーブルには、タイ、ベトナム、カンボジア、そして中国の議員が座り、なごやかに食事が進む中、タイ・ベトナムの議員から、「このテーブルには日中の議員がいるが、日本と中国の関係はいったいどうなるのか」という心配の声が上がった。
全くごもっとも。
私は、日中の問題について、次のような意見を持っている。まず、警備の不備に関する謝罪や補償、そして再発防止措置は、確立された国際ルールに則り処理されるべきだ。
国際法に則れば、勿論中国は謝罪すべきとなる。
感情論を交えると、話はややこしくなり、双方突っ張って、謝罪もしにくくなる。その意味でも、在日の中国大使館に対する一部日本人による嫌がらせは、やはり厳に慎むべき。

次に、日中両国民は、長い時間をかけても、互いに尊敬し合うことを基本原則に、理解を深めていくべきである。
戦前、確かに不幸な時期があった。その桎梏は極めて重い。
このような歴史は、確実に総括しなければならないし、だからこそ、わが国の歴代政権も、謝罪を繰り返してきた。
そして今や、わが国においても、戦前への回帰はあり得ない時代。
このようなことを、中韓の、(教育の影響か、特に若者において著しい)感情的な反日論者に、是非知ってもらいたい。それが、日中・日韓が「互いに尊敬をし合う」ことの第一歩。

この日も、私の主張を、同席した李・全人代常任委員に話をした。
これに対し、李委員も、「今回は、一方で、相互理解の対話のために来た。両国が尊敬し合える関係を作ることに賛成。」と応じた。
その上で、「しかし、日本もドイツのような明確な謝罪が必要。」と、いつもの中国側の主張を述べてきた。

そこで私も、「ヨーロッパとアジアでは、国の成り立ちも、関係も違う。例えば、アジア人だけのテーブルなのに、今何故私たちは、英語でコミュニケーションしなければならないのか(この発言に、タイ・ベトナム・カンボジアの議員がうなずく。)。」と切り返す。
そして、続けた。
「是非知って欲しいことは、戦後教育を受けた我々日本人は、内在的に、平和主義を育んでいる。戦前への回帰など不可能だ。
だから、現在の安保理常任理事国問題、教育問題、憲法問題などに関するわが国の施策は、決して、戦前への無反省から出ているものでなく、平和主義国家日本及び日本民族が、そのアイデンティティーを大切にしつつ、これからどう生きていくかを模索する中から検討されているもの。
勿論わが国として、皆さんへの説明は必要だ。ただ、これらの施策を、ことさら、『戦前回帰』の『無反省の証左』と喧伝することは、かえって、両国国民の相互理解の妨げになるのではないか。」

2時間のディナー中、この日中議員同士の議論が約1時間。
李委員も、普通は料理や風光を誉める程度で会話を終わらせることの多い日本人議員とこんな議論ができるとは思っていなかったらしく、私の名刺をしげしげと眺めていた。
そして、意見の相違はあっても、対話をすることは大変良いことと喜んでいた。
相手のことを理解することも大切だが、それと同時に、やはり、自らのことを相手に理解してもらわなければ。
これからも、国会議員の立場から、私たち若い世代のセンスとメッセージをしっかりと相手方に伝え、隣国との真の相互理解の実現に力を尽くしていきたい。