こどもの反乱~少年犯罪に厳罰化はオールマイティーか?
2005-2-14
今日はバレンタインデー。
でも、大阪の寝屋川から、17歳の少年が包丁を持って職員室に乱入、3人の教職員を殺傷という「愛の日」にふさわしくないニュースが飛び込んできた。
このような少年犯罪が相次ぐ度に登場するのが、いわゆる厳罰化の議論。
私も、国会議員としてよりも、むしろ少年問題の専門家として、講演を頼まれることが多く、この問題については良く質問を受ける。
そして、今国会でも、最近でも、犯罪行為をした14歳未満の少年についても、調査を行い、必要により少年院入所を可能にする法改正が行われる見通しだ。
私は、たとえ少年であっても、悪いことをしたら、決して甘やかすことなく、その罪を反省させるべきとい考えており、今回の法改正にも基本的に賛成だ。
でもちょっと待って欲しい。それでは大人はどうだろうか。
今の少年犯罪の一つの理由に、「こどもの反乱」の側面はないのか。実は、以外と知られていないことだが、例えば傷害事件で捕まったときなど、本当の「ワル」は、家庭裁判所での「審判」よりも、厳罰が下されるかも知れない地方裁判所での「裁判」を望むという。
というのは、大人並びの裁判では、大人への量刑基準が適用され、多くの場合、懲役○年の判決でも、大方執行猶予がつく。
しかし、「少年審判」では、入所期間は短いかも知れないが、即少年院送り、すなわち「実刑」になってしまう。ある意味で大人の量刑基準は子供に比して甘いと言える。
最近問題となっている小児性愛の問題もそうだ。
欧米では、児童に対する大人の性犯罪者は、一種の精神病理学的治療が必要と考えられ、罪そのものが厳罰に処せられる上、刑期終了後も監視されることが多い。
児童ポルノも、単に持っていただけで罰せられる。
しかも、例えば米国では、高校生アイドルの一寸セクシーな写真を載せた日本の週刊誌は輸入禁止で、週刊ポスト、フライデーなども良く発禁になるという。
日本では、私も制定改正にかかわった児童買春・ポルノ禁止法は確かにあるが、実のところ、欧米ほどには国民的議論は煮つまっていない。
また、英国には、少年犯罪を犯した子供の親に対しても、その家庭教育の問題について、強制的にカウンセリングを受けることを命ずる制度もある。
この制度を、「何でうちの子が」と何かの間違いと祈るばかりで、真剣に自分の問題として見つめようとしない日本の親に教えたら、それこそびっくりもの。
欧米では、このように、「大人も襟を正す」仕組みを整備した上で、少年犯罪に対する厳罰主義がある。
私は、何も欧米の制度そのままを日本に輸入すれば良いとは思わない。
しかし、子供にだけ厳しい「短絡的な厳罰化」では、何も問題は解決しない。
今、日本の子供をとりまく環境は、まさに危機に直面している。
私は、政治家として、さらに、少年問題の専門家として、バランス感覚をもった包括的政策の確立に力を尽くしていきたいと思う。