自民党農林水産戦略調査会副会長に就任~農政新時代の議論に参画
2015-12-19
平成27年11月18日、私は、自由民主党農林水産戦略調査会(西川公也会長)の副会長に就任した。
その前日の11月17日、わが党は、農林水産分野におけるTPP対策を取りまとめたが、後にも述べるように、来年秋までを目途に、将来的に向けた骨太の政策を取りまとめることが求められる。
私は、今後、農林水産戦略調査会の副会長として、わが国農業の将来を見据えた新たな対策の策定に向け、積極的に発言していくこととなる。
わが国がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉への参加を表明してから約2年半後となる平成27年10月5日、TPPは、大筋合意に達した。
ご案内のように、TPPは、わが国を初め、米国、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ、ニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、ベトナムの12か国を参加国とする経済連携協定で、経済活動のルールの標準化し、ハイレベルの自由貿易圏の形成を目指すものだ。
わが国は、TPPのコアメンバーとして、アジア太平洋地域における経済活動ルールの策定に積極的役割を果たしたわけで、その姿勢は、他の交渉参加国からも高く評価されたと聞いている。
ただ、交渉当時から懸念されたことではあるが、わが国の農林水産業は、他のTPP参加国と比較すると競争力が弱く、関税措置が撤廃され、「自由貿易」となれば、大きな打撃を被ることとなりかねない。
このため、TPP交渉では、重要5品目(米、麦、甘味資源、牛・豚肉、乳製品)について、関税措置を残すことで合意を見たわけだが、将来関税率が下がる品目もあり、生産者の不安を払拭するために、万全の国内対策を講じていくことが必要だ。
自民党では農林部会(小泉進次郎部会長)・農林水産戦略調査会の合同会議が、10月半ばからほぼ連日開催され、TPP対策に関する議論が続けられた。
私自身は、10月7日まで、法務副大臣兼内閣府副大臣を務めていたため、これまで自民党の会合での発言ができなかったが、今回のTPP対策の議論では、その制約もなくなったため、ほぼ毎回、積極的に発言させていただいた。
例えば、
- 米の5年備蓄を3年備蓄とし、TPP枠で増加する輸入米に相当する量の米を市場から隔離すること自体は農業者の不安解消のため良いことだが、税金を使う以上、国民に対し、なぜ3年備蓄とするのか、食味の問題も含めたエビデンスに基づく説明が必要。(この発言の翌週に、「備蓄米試食会」が開催された。)
- これまでは、麦のマークアップ制度による収入や牛肉の関税財源が農畜産業振興のための特定財源となっていたが、これが漸減していくわけだから、農業支持のための財源をどう確保するのか、農業者にしっかり説明することが必要。
- 農業については、米国にせよ、EUにせよ、農家所得の何割かは補助金(税金)が占めている。わが国も同様だが、TPP対策も含めこれだけの税金を充てる以上、わが国は、農業を何故守らなければならないのか、農業者はどのような改革努力をしているのか、国民に対し、しっかりと説明し、その理解を得ていくことが必要。
- 税金を使う対策ばかりでなく、わが国の農畜産品が高く売れるようにする対策(飼料用米を給餌した豚肉のブランド化等)や生産コスト縮減のための肥料・飼料・資材等の価格を下げる政策も必要。
- 将来の関税率の低下に対する対策としては、20年後の姿も見据えて、短期的な対策のほか、長期的なビジネスモデルを提示するなど、中長期対策の検討が必要。
等々だ。
これらの発言内容も盛り込まれ、11月17日、「農政新時代~努力が報われる農林水産業の実現に向けて~」が取りまとめられた。
これは、重要5品目についての経営所得安定政策等を図るほか、農業者の不安を払拭するため、農林水産戦略調査会に「農林水産業骨太方針策定プロジェクトチーム」を設置し、若者を含めた生産者、経済界、有識者の参画を得て、「農林水産業・食料2050」、「農政新時代人材力強化」、「輸出力強化」などについて継続的に検討を進めることとし、平成28年秋を目途にとりまとめを行うこととしたものだ。
冒頭にも述べたが、来年秋までの時期は、わが国の農政にとって、極めて大切な時期ということができる。
農林水産戦略調査会副会長は、自民党の農林役員会のメンバーとなるわけで、来年に向け、しっかりした仕事をしていきたいと思う。