農地をしっかり整備して農家所得をアップへ ~ 農地を侵蝕する特定外来生物対策にも力を入れる
2024-6-24
別のコラムでも述べたように、茨城県南地域は、全国有数の水田地帯だ。
私の選挙区(茨城3区)は、東京23区よりも少し広いが、その全面積の28%が水田で、新利根川流域の4市町(龍ケ崎、稲敷、利根、河内)に限れば39%と、水田占有率は全国平均の約6倍だ。
ところが、平成以降、コメの消費減退に伴い、米価が長期下落傾向を示すとともに、昨今は、農家の後継者不足の問題が深刻化している。
そのためには、1つには、農家に、日本人の食生活の変化に応じ、小麦や大豆といった需要のある作物を栽培していただき、(これにより、コメの供給量が少なくなり、結果的に需給が均衡して米価が安定する)農家の所得を上げてい
くことが大切だし、2つには、農地を大区画化するなどして、農業機械を活用した省力化を図って、後継者問題に対処しなければならない。
前者は、「農地の汎用化」、後者は、「農地の大区画化」という事業だが、その整備率は必ずしも高くない。
「汎用化」(排水の実施)と「大区画化」(1㌶が望ましいが、50㌶も可)については、汎用化が4割程度、大区画化が1割程度の整備率にしか過ぎない。
私は、低湿地という地元の地域特性を踏まえ、飼料用米等をはじめとしたイネ科植物を栽培しても、転作として扱う仕組みを創設したが、(別コラム参照)本来であれば、輸入している小麦や大豆を国産で代替していくことこそが王道だ。
そのためにも、私たちの地域こそ、色々な作物の栽培や機械化を可能とするための農業基盤整備、すなわち土地改良事業を特に推進しなければならない。
しかし、私が落選中の民主党政権下、このための予算は、大幅にカットされてしまった。
グラフを見ても明らかなように、民主党政権で、土地改良予算が6割以上削られ、バラマキ予算に振り向けられ、多くの土地改良事業がストップしてしまった。
政権復帰後私たちがしたことは、まずは予算を回復させることだった。
そして、農林水産省と連携しながら、施工箇所を計画的に拡大することが大切だ。
現在、例えば新利根川流域については、上流の利根町部分から事業が順次実施されつつある。
このような土地改良事業を推進することと合わせて、農家の後継者不足問題に対処しなければならない。
私は、農林水産副大臣として、令和3年5月「みどりの食料システム戦略」を策定したが、この戦略は、農業の環境負荷低減を図るとともに、スマート農業の推進にも力を入れるもので、戦略策定後必要な事業の予算化も行った。
例えば、デジタル技術を応用した生育管理を行い、ドローンによる効果的な農薬・肥料の散布を行えば、環境負荷低減、省力化及び生産性向上のいずれも満たすことができる。
スマート農業を進める上でも、農地の大区画化などの土地改良事業は、なくてはならないものだ。
ただ、農業基盤を整備しても、農地に今までの生態系にない新たな植物が繁茂することとなると、農地の生産性は格段に落ちてしまう。
私たちの地域、特に新利根川流域で問題となっているのが、「最凶の特定外来生物」と言われる「ナガエツルノゲイトウ」だ。
南米原産のこの植物は、観賞用として導入後、河川に捨てられるなどして本州南部などの17府県に広がってしまった。
ナガエツルノゲイトウは、茎の断面からでも再生するなど、繁殖力が極めて強く、生態系への被害が大きいだけでなく、水路をふさいでしまい、しかも、水田に侵入した場合には、収穫に甚大な被害をもたらすこととなる。
令和3年、私が農林水産副大臣だった当事も陳情を受け、一定の駆除策を講じたが、「最凶」と言われるだけあって、その根絶はなかなか難しい。
新利根川流域に再び急拡大しだしたナガエツルノゲイトウに対処するため、令和5年には、龍ヶ崎、稲敷、利根、河内の4市町に、私や国・県も加わった協議会を設置するとともに、農地を守るための補助を茨城県が予算化するなど、現在本格的な対策に乗り出している。
そして、令和6年6月26日には、私と4市町の首長で、農林水産大臣、環境大臣及び国土交通副大臣にお会いし、ナガエツルノゲイトウ対策への支援をお願いすることとしている。
これまで述べてきたように、私たちの地域で持続的な農業を確立するためには、農業基盤の整備やスマート化で農地の生産性を高めるとともに、ナガエツルノゲイトウなど農地の生産性を減殺する要素をしっかりと取り除いていくことが大切だ。
このような営みが、農家の所得向上につながっていくこととなる。