水害から住民を守るために ~利根川、鬼怒川、小貝川の治水機能の強化

2024-6-21

私の選挙区(茨城3区)の稲敷郡、北相馬郡地域は、東には霞ヶ浦、西には鬼怒川、南には利根川、そして北には牛久沼と小貝川と、四方を一級河川に囲まれた珍しい選挙区で、その地形的特徴から、従来から、頻繁に水害の被害を受けてきた。

 昭和56年には小貝川下流の堤防が決壊、甚大な被害をもたらしたほか(写真)、つい最近の令和5年には、取手市で大規模な浸水被害もあった。

だからこそ私は、国土交通省並びにその出先である利根川上流河川事務所、利根川下流河川事務所、霞ヶ浦河川事務所及び下館河川事務所と緊密な連携をとりながら、防災減災対策に当たってきた。

しかし、治水関係予算は、民主党政権で大幅に削減された。例えば「スーパー堤防(高規格堤防)」は、「事業仕分け」の中で、「スーパー無駄遣い」とやり玉に挙げられたほどだ(治水・治山予算の推移は図を参照)。
治水事業は、大変時間のかかる事業で、計画的に進めていくことが必要だ。
このため、国土交通省は、水系ごとに河川整備基本方針・河川整備計画を策定し、順次整備を進めている。
その中で、私たちの仕事は、まずは全体の治水予算をしっかり確保し、その上で、各河川事務所等と連携し、できるだけ早期に地域の治水施設の整備を促していくことだ。
以下、私たちの地域に関係のある事業について順次説明することとするが、これまで関係機関と詰めてきた事業を進めることができれば、令和10年代の半ばには、県南地域の治水機能は、格段に向上するはずだ。

(利根町押付地区のスーパー堤防・防災ステーション)
利根町押付地区は、利根川と小貝川の合流部にあり、地形上、水衝破壊が起こりやすく、その堤防の強化は、従来からの課題とされており、平成10年、スーパー堤防事業が着手された。
平成23年、民主党政権下で、スーパー堤防事業が中止となってしまった。しかし、一部の堤防が脆弱なまま残るのはかえって危険だ。平成24年、その部分に防災ステーションを造成することで事業が継続し、自民党政権下の平成25年に調査設計に着手、令和12年の完成を目指している。

(稲戸井調節池の整備と田中調節池の機能強化)
調節池は、囲ぎょう堤・越流堤と周囲堤に囲まれた池で、本川増水時には越流堤から水を入れ、水が引いた段階で、池内の水を排水門を通じて本川に排水する。本川及びその下流部の増水を抑えるためには、極めて有効な施設だ。(図)
取手・守谷地区の利根川両岸には、菅生、稲戸井、田中の3つの調節池があるが、このうち、取手市と守谷市にまたがる稲戸井調節池が未完成だが、平成21年に越流堤が完成し、一部供用可能となった。
これらの調節池は、令和元年の台風19号の増水時、実際に威力を発揮したが、さらに治水機能を強化していくことが必要だ。

このため、稲戸井と田中の両調整池について、現在事業を進めつつある。
概成はしたものの未完成の稲戸井調整池については、自然環境にも配慮しつつ、令和18年の完成を目指し、洪水時の貯水量を増やすための掘削事業を進めてもらっている。
また、千葉県側の田中調整池については、越流堤の位置を下流から上流に持ってくることで、洪水時貯水量が大幅にアップする。令和5年に事業が始まり、令和17年の完成を目指している。

稲戸井調整池の治水容量は約2000万立方メートル、田中調整池の治水容量増加が約1100万立方メートルなので、合わせれば、東京都の多摩湖(村山貯水池)の貯水容量(約3000万立方メートル)に匹敵することとなり、利根川の下流部の治水機能が大幅に向上することとなるとともに、利根川増水時の鬼怒川・小貝川へのバックウォーター(利根川本川の水が鬼怒川・小貝川に逆流する現象)対策としても、極めて有効だ。

(守谷市の鬼怒川堤防の強化)

守谷市の守谷サービスエリアを利用したスマートインター計画とその周辺整備については、別の機会で述べるが、整備されることとなる施設が、浸水地域に立地していることが問題だ。
鬼怒川については、平成27年9月、常総市の堤防が決壊し、甚大な被害をもたらした。このため、その周辺地域において、堤防の整備が進められたが、利根川との合流部についても、早期の整備が必要で、この数年間、市当局などとともに、国への陳情を繰り返してきた。

その結果、令和6年から、治水機能強化のための事業が開始されることとなった。

(利根川下流域の治水機能の強化)
上流部の調整池の治水機能の強化により、利根川下流域は、格段に安全になる。
ただ、現在の雨の降り方は、従来とは全く異なり、市町域の多くが浸水地域に当たる龍ケ崎市、稲敷市、利根町、河内町などの住民は、常に水害の不安を抱えている。
このため、防災拠点の整備や堤防の堤体強化をはじめとした利根川下流部左岸の治水機能の強化について、私も自治体と緊密な連携を図りながら、これからも国とのパイプ役としての役割を担っていく考えだ。

以上述べたような営みをしっかりと継続することで、私は、水害から住民を守り、その安全安心を確保していく考えだ。