つくばエクスプレスの利便増進と輸送力増強のために ~ つくば・守谷・豊洲・羽田を結ぶ構想、常磐線の利便増進にもつながる

2024-6-18

令和6年6月10日、私が会長を務める「つくばエクスプレス利用・建設促進議員連盟」の総会を開催、ようやく未来の姿が見えてきたつくばエクスプレス(TX)の東京駅延伸等の課題について議論した。

 平成17年に開業したTXは、これまで沿線地域発展の起爆剤として、大きな役割を果たしてきた。
加えて、TXは、交通政策審議会答申の中では、「常磐新線」と位置づけられているように、JR常磐線の競争相手だ。実際に、TXの開業年にあわせて、平成17年に「特別快速」が運行されるようになったことでも明らかなように、TXの利便増進は、常磐線の利便増進を促す効果もある。

そのTXは、開業後順調に輸送人員を増やしてきたが、令和2年のコロナ禍で、これが一時的に減少することとなったが、昨年、新型コロナウィルス感染症が5類に移行したことにより、輸送人員も、ほぼコロナ前の水準に回復しつつある。
その一方で、コロナ前から問題となっていた2つの課題が顕在化してきた。

その1つは、混雑の問題だ。
TXは、6両編成で、朝のラッシュ時には、ほぼ4分おきに運行されているが、それでもその混雑率は、首都圏の鉄道の中でトップクラスだ。
私は、平成30年にTX利用・建設促進議員連盟の会長に就任した。当時も混雑の問題は喫緊の課題であったため、TXの事業主体である首都圏新都市鉄道株式会社側と話し合いを続け、令和元年、会社の費用負担により、8両編成とするためのホーム延伸工事を行うことを決定してもらった。
もっとも、ホーム延伸工事は、終電と始発の間の夜間に行う必要がある。現在、地下駅での工事はほぼ終了したが、北千住以北の地上駅については、今年からの工事となり、その完成には、あと数年から十年近く必要だ。
私は、沿線自治体と協力しながら、引き続き工事の早期完成を働きかけていく。

その2つが、東京駅への延伸の問題だ。
もともとTXは、昭和60年の運輸政策審議会(交通政策審議会の前身)答申で、東京駅とつくばを結ぶ路線として位置づけられていた。しかし、現在は秋葉原止まりで、TXの東京駅延伸は、TX議連としても、従来からの悲願であった。
ただ、東京駅は、地上、地下とも過密状態で、東京駅周辺までTXを延伸させるだけなら、JR東京駅とは相当離れた立地とならざるを得ない。しかも、東京駅止まりにしてしまっては、大変もったいない。
やはり、鉄道のネットワーク効果を発揮するためには、他の路線と接続させることが望ましく、私も議連の事務局長として、八方てを尽くしたことを覚えている。しかし、TXの秋葉原までの開業後数年間は、適当な路線が見つからなかったのが実情だった。
それが平成26年、東京都中央区が東京駅(八重洲側)と豊洲市場を結ぶ「都心部・臨海地域地下鉄構想」をぶち上げたことで、状況が大きく進み出す。
私は、国土交通省に対し、TXと「都心部・臨海地域地下鉄構想」のネットワーク化の重要性を申し上げ、平成28年の交通政策審議会の答申では、「TXと都心部・臨海地域地下鉄構想の接続の検討」が明記されることとなった。
「都心部・臨海地域地下鉄構想」については、その後、東京都において、その構想の具体化が進められ、令和4年11月には事業計画を公表、さらに、令和6年2月には、運営主体及び建設実施主体が発表され、令和22年の開業を目指すこととされた。
TX議連の仕事も、これからがさらに忙しくなる。
TXと都心部・臨海地域地下鉄の接続に向けた事業スキーム等々について、今後、関係者による話し合いの具体化を促していくことが必要だ。
このため、令和6年6月10日に議連を開催して決議を行い、12日には、斉藤哲夫国土交通大臣に決議文を手交した。
私は、これからも、このような営みを一層パワーアップしていく。

そして、「都心部・臨海地域地下鉄」は、TXとの接続だけでなく、羽田空港と結ぶことも検討されている。
このように、つくば、守谷、東京、豊洲と羽田を結ぶ一大ネットワークが完成すれば、TX沿線地域の持続的発展の起爆剤となることはいうまでもない。
加えて、冒頭述べたように、TXの利便性増進は、競争相手である常磐線の利便性増進にも直結する。

TX(常磐新線)とJR常磐線のそれぞれの沿線地域において、新たなまちづくりの機運が生まれることも期待したい。