新型コロナ対策の法改正について提案を行う~党内の建設的議論こそ大切
2021-1-11
1月7日午前10時の自民党本部。急遽、令和3年になって初の「新型コロナ感染症対策本部」が開催された。
東京都の新規感染者数は、令和2年の大晦日に1337人を記録し、世間に衝撃を与えたが、年が明けてからも高水準で推移、1月6日には、1591人と過去最悪を更新した。
このような状況下、1月2日、関東1都3県の知事が政府に対し「緊急事態宣言」の発令を要請、菅総理も、1月7日にも緊急事態宣言を行う方向での検討を表明、さらに、新型インフルエンザ特措法等の早期の改正についても言及した。
この日の会議は、このような動きを受けたもので、各議員には前日に会議の案内が届くという、緊急の開催となった。
国民が大きな不安に直面する中、関心の高い会議であり、急な案内にもかかわらず、私も含め、多くの議員が出席し、医療現場や業界の窮状を訴えるなど、力のこもった演説をし、会議は、1時間の予定を大幅に超過、2時間15分に及んだ。
その中で私は、今後に向けた前向きの抜本対策をとるため、発言の中で、より建設的な提案をさせていただいた。
第1は、今政府が検討している新型インフルエンザ特措法や感染症法の改正検討についてだ。
具体的には、休業指示違反への罰則、休業補償、措置入院への公的関与の強化等。
これについては、余り強権的という印象を持たれることがないよう、「粛々と、慎重に、事務的に検討していただきたい」と申し上げた。
第2は、「緊急事態宣言」の発令の柔軟化だ。
現行法上、国が「緊急事態宣言」を出してくれれば、知事は、飲食店等に対し、宣言前の任意の「休業要請」でなく、「休業指示」ができる。
国の宣言に基づく「休業指示」ならば、都道府県は、休業や時短の協力金や補償金のツケを、国に回しやすくなる。
しかし、独自の「休業要請」なら、協力金や補償金は、独自財源でやってくれということになってしまう。
ここらへんが、各都府県知事らによる国への「緊急事態宣言発令陳情」の理由であるかも分からない。
ただ、この日私が発言したのはそれとは別件だ。
昨年私が自民党の副幹事長を務めていた折、私は新型コロナ対策の勉強会を主宰した。
各方面からのヒアリングで、新型インフル特措法について印象的だったのが、民主党政権時に新型インフル特措法の制定に関わった国立医療保健科学院の斎藤部長のお話だった。
斎藤部長によれば、「緊急事態宣言」は、感染拡大の中で、「野戦病院」のような抜本的感染防止対策を想定していたとのこと。
だから、現行の新型インフル特措法でも、陰圧式のテントなどを利用した臨時の医療施設を、私有地を接収して強制的に作ることができることとなっている。
ところが今、「緊急事態宣言」といえば、「休業指示」ばかり。
国が宣言を出せば、知事は休業指示に集中、結果経済はガタガタになってしまう。だからなかなか「緊急事態宣言」を発出できないというジレンマに陥る。
そこでこの日私が提案したのは、「休業指示が出せる緊急事態宣言」と、「医療提供体制強化の強制ができる緊急事態宣言」をそれぞれ別に発令できるスキームを作るべきことだ。
例えば、昨年5月7日、私は、 自民党のコロナ対策本部の席で、「今緊急事態宣言が発出されていることを利用して、何故強制的に臨時の医療機関を作らないのですか。軽症者・無症状者対応には重症者ほど医師等の資源を投入する必要はない。公園等を利用して、陰圧テント、プレハブで、最低でも10万床の野戦病院体制を整備すべき。」と発言した(コラム参照)。
これは各業種への休業要請・指示とは別個の問題だと思う。
第3は、我が国に入国する外国人の問題だ。
現在我が国への入国は極めて制限されている。
ただ、法制上、検疫を通過して我が国に入国した人が、検疫所長の付した条件(会食の禁止等) に違反した場合、これを強制的に出国させることができない。
私はこの日、入管法の運用・改正の必要を指摘した。
私は、以上のような建設的な提案こそが、我が国と日本国民が現在のコロナ禍を乗り越える鍵になるものと信じている。
今後もしっかりとした発信を行っていきたい。