来るべき「日本建て直し」のため力を蓄えなければ
2009-12-9
平成21年8月30日の総選挙は、自民党が119議席と歴史的な大敗、私も、もとより自らの力不足ゆえ、苦杯をなめる結果となった。
ただ、民主党は、「政権交代」こそ実現したものの、外交、経済政策など、大きな不安を抱えている現状にあり、正直、世の中の雰囲気が「明るくなった」とはとても言い難い。
我々は、今回の総選挙の敗因をしっかりと分析し、来るべき「日本の建て直し」のために、着実に力を蓄えていくことが必要と思う。
自民党の敗因分析について言えば、選挙直後の9月中旬、自民党本部で開催された会議で、次のような発言を行ったが、その考え方は、現在も変わっていない。
「今回の選挙は、明らかに自民党の政治姿勢が、共感力や統治能力なしと判定され、国民から飽きられた。
情の面と理の面の両方がある。
まず情の面について言えば、今、国民は、未曾有の経済危機に直面し、正直困っている。
ところが、自民党の為政者はというと、ニタニタ笑っているように、少なくとも国民には見えてしまった。
為政者が国民との共感力を失えば、ノーが突きつけられるのは当然だし、多くの国民が、麻生首相(当時)に総理を続けて欲しくないと考え、これが投票行動となってしまった。
次に、理の面、統治能力の面でもノーが突きつけられた。
多くの国民は、その問題の詳細までは知らないものの、公務員制度改革における谷人事院総裁の抵抗、日本郵政の西川社長続投のゴタゴタなどで、この政権、内閣は、官僚を御することができないと判断したと思う。
したがって、この内閣の顔ぶれでは、天下りやムダの排除はできないと、初めからノーが突きつけられてしまった。
もっとも、与党の一員として、「選挙に強いだろう」という理由で、このような内閣を選んだ我々こそ、猛省しなければならない。」
もとより、わが党の敗因は、以上の発言に言い尽くされているわけではないが、ここで言いたかったのは、今回の選挙の敗因を、麻生内閣のみに転嫁することはできないし、私自身を初めとした自民党の政治姿勢が問われたということだ。
私たちは、もっと愚直になることが必要だ。
ただ、政治姿勢の面では申し開きできないが、昨年来の経済危機の中で、自民党が進めてきた経済戦略は、私は全体としては正しかったと考えている。
すなわち第1に、隣国の中国が毎年(!!)、わが国の高速道路総延長を上回る1万㌔の高速道路を建設するなど、国際競争力強化のための投資に力を入れる中、わが国としての生き残りを図るためにも、今こそ、科学技術、コンテンツなど、将来に向けた投資を大胆に実施することが必要だ。
次に、このような投資、財政出動は、赤字国債の増発圧力となるが、これにより、長期金利を上げる結果となってはならない(公債残高は既に800兆円ある。例えば10兆円の赤字国債発行により金利が1%上がると、単年度で8兆円の財政圧迫要因となるため、差し引き2兆円の財政出動効果にしかならない。)。
このため、将来(景気回復後)の消費税増税と財政再建のプログラムを国際社会に示し、国債の価格低下(長期金利上昇)を抑えることが肝要だ。
さらに、東アジアの安全保障が地政学的にいささか脆弱であるという現状に対処するとともに、連携の取れた経済政策を推進し、経済危機に立ち向かうため、日米の戦略的パートナーシップ強化が大切だ。その意味で、インド洋での給油継続は重要なファクターだ。
これが、昨年来、自民党の進めてきた戦略的政策だった。
私は、このような戦略的問題と比べると、漢字読めない問題、簡保の宿問題、西川問題などは、ある意味で周辺的問題ではなかったかと考えているが、自民党の政権運営の拙劣さ、体質的鈍感さにより、このような事案だけがクローズアップされる結果となり、わが党へのノーが突きつけられることとなった。
さて、今、民主党政権は、これまでの戦略と全く逆の方向性を提示しようとしているかに見える(あるいは、方向性がない。)。
すなわち、「事業仕分け」などを通じ、「将来に向けた投資」を削減し、これにより浮いた財源を、財政再建に使うのならばまだしも、より経済効果の薄いバラマキ(○○手当など)に使おうとしている。
また、国債発行額が本年度は既に53兆円を超えるにもかかわらず、今なお、将来の消費税増税の議論は封印したままだ。
さらに、日米関係という意味では、インド洋給油の中止に加え、普天間基地問題なども大いに心配だ。
新政権発足後もうすぐ3ヶ月、このホームページでは、今後、新政権の政策を吟味しつつ、来るべき「日本建て直し」のため、私なりの政策論を展開していきたい。