自分に甘く他人に厳しい民主党(2)~鳩山・「幽霊献金」問題が明らかにした民主党の体質

2009-7-19

街頭で鳩山民主党の問題点を訴える

前回のコラムで述べた鳩山「ユウレイ献金」の問題については、私自身、調査プロジェクトチームの一員として、その実態解明に取り組んできたが、残念ながら、ナゾは深まるばかりだ。
それなのに鳩山さん、逃げ回るばかりで、国会での説明を求めても、あるいは、国会への資料提出を求めても、全く梨のつぶて。
しかも、7月13日に内閣不信任案を提出して以降は、国会を空転に持ち込み、鳩山「ユウレイ献金」問題への追及を封印しようとする姿勢はミエミエだ。
私は、もとより、他人の悪口は言いたくないが、これから総理大臣を目指そうという方が、本当にこれでよいのだろうか。
多分、子供達への教育上、余りよろしくないように思う。
でも、この問題の解明に取り組むことにより、私は、民主党の体質を、如実に実感することができ、大変勉強になった。

今日は、そのうち2つの問題点について書く。その1つは、民主党の、「自分に甘く他人に厳しい」という政治姿勢だ。
かつて、与党の閣僚らに、事務所費問題など、「政治とカネ」に関わる問題が指摘されたとき、これを鬼の首を取ったように追及したのは、当時民主党の幹事長だった、鳩山由起夫氏自身ではなかったか。
「秘書の問題で済むはずがない」、「事務的ミスで言い逃れるな」と国会で執拗に攻め立て、「説明責任を果たしていないから政治責任をとれ」と要求したのは、民主党ではなかったか。
それが今、自分についての問題が指摘されると、おざなりの記者会見でお茶を濁し、本人だけでなく周囲も「説明責任は果たした」と強弁し、国会への出席は逃げまくる。
これは極めておかしくないか。

そう言えば、小沢前代表についてもそうだった。
西松建設の違法献金問題で公設秘書が逮捕されても、「普通は逮捕される事案ではない」、「異常な捜査だ」、「私は悪くない」と言い張り、国民に対する謝罪や説明は行おうとしない。

でも、このような、「自分に甘く他人に厳しい=ワガママな」政治姿勢で、今の難局に対処できるか?
答えは否だ。
これからの政治は、経済界にも、国民にも、他人のことを考えることを要請していかなければならないからだ。

例えば銀行、自分だけが生き残ることだけを考えて、好き放題の貸し渋り、貸し剥がし。これはヤメさせなければならない。
政治は、彼らに対し、「苦しいけど、もっと取引先を大切にしようよ。」と、明確な要請を行わなければならない。

例えば大企業、自分だけが生き残ることを考えて、好き放題の派遣切り、首切り。これもヤメさせなければならない。
政治は、彼らに対し、「苦しいけれど、もっと雇用を大切にしようよ。」と、明確な要請を行わなければならない。

このような困難な要請を行うべき政治家が、「自分に甘く他人に厳しい」、「身内への友愛しか持ち合わせない」では、まさに何をかいわんや。
今回の「ユウレイ献金」問題への対応は、鳩山氏の資質の欠如を示すとともに、民主党では、今次の経済危機を突破できないことを明らかにしたように思う。

その2つは、民主党の「『ユウレイ』からお金を貰っても問題ないという『偽装財源』を容認する」な政治姿勢だ。

選挙が近づいてくると、どの党も、残念ながら「バラマキ型」の政策を指向し勝ちになる。
このときに、A党は、「あなたに百万円差し上げましょう。」といい、B党が、「あなたに千万円差し上げましょう。」という公約を作ったとき、多分有権者は、「B党の方がいい」となる。
しかし、国のお金が1人百万円分しかなければ、B党の公約は、詐欺(7年以下の懲役)以外の何物でもなくなってしまう。

この点、私も常々疑問に思っていた。
民主党は、子供手当月2.6万、高速道路無料化、高校授業料無償化、暫定税率撤廃等々、約20兆円の財政出動を公約にしているが、その財源は、「ムダの撤廃・天下り廃止」で出て来るという。
「ムダの撤廃・天下り廃止」、大いにやろうじゃないか。
私も、国家公務員(60万人)1人当たりギリギリ百万円程度吐き出させましょう(これは結構大なた)、天下りのOB役人(約1万人、人件費800億円)は全てヤメさせましょう、それくらいの大改革をしようと思っている。
でもそれで出てくるのは、マックス7千億円。
民主党バラマキ20兆円の3.5%を賄えるに過ぎない。

民主党の方々、アトの19兆3000億円をどこから引き出すつもりか?
消費税の議論も4年間凍結で、どうするつもりか?
政治家を名乗る方が、こんな詐欺に類する「政策なるもの」を、何故良心の呵責なく堂々と発言できるのだろうか?
私は、常々疑問に思っていた。

その疑問が、今回の鳩山「ユウレイ献金」問題で氷解した。
民主党は、「ユウレイ」からお金を引き出すことができるのだ。
それだったら話は簡単だ。
事実、鳩山代表に対する個人献金の8割は、「ユウレイ」からの献金を含め、「全くのウソ」だった。
前回のコラムでも述べたように、それ以外の「匿名献金」についても大いに疑問だ。これも偽装の疑いがある。
代表自身が、自らの政治資金収入の大半を「偽装財源」に頼っている位だから、民主党の方々が、全く良心の呵責なく、「偽装財源」に基づいた公約を喧伝する位、朝飯前であるということを、私は、妙に納得してしまった。

このように、鳩山「ユウレイ献金」問題は、民主党の、
○(自らの政治とカネの問題が指摘されたら開き直り・逃げ回るという)「自分に甘く他人に厳しい」政治姿勢
○(ユウレイから献金を貰い、献金の大半が偽装献金でも問題視しないという)「偽装財源で良しとする」政治姿勢
を明らかにしたように思う。

やはり民主党に、この国の将来を委ねるわけにはいかない。
ただ、一方でわが自民党、最近のゴタゴタには、私自身、正直辟易している。
これからは、私たちの世代が、自民党を造りかえることで、しっかりとした情熱をもって、国家と国民をリードしていかなければなるまい。