国会対策も地元活動も~国会対策副委員長として経済対策に万全を期す
2008-11-4
つい最近まで、「11月18日公示、11月30日投票」が最有力と報道されてきた解散・総選挙の日程が、アメリカ発の金融危機に端を発した急激な株安・円高の中、非常に流動的になってきた。もっとも、衆議院議員の任期は、2009年の9月までしかないわけで、常識的に言えば、選挙は、そう遠くない将来、確実にある。
だからこそ、この時期、地元における政治活動をしっかりと行ない、選挙区の方々に、私の主張や、これまでの活動を理解していただくことが大切だ。
しかしながら、現下の経済危機を考えれば、与党の責任として、国会を動かしていくことも極めて重要。
11月4日、与党の国会対策正副委員長と、衆議院常任委員長・筆頭理事との会合が開催され、10月30日の麻生総理による経済対策の発表を受け、これまでどちらかというと「選挙モード」となっていた国会運営を、「選挙は選挙」、「政策は政策」ということで、「政策実現モード」をとっていく方策について協議した。それにしても、米国発の金融危機・世界恐慌への対策は待ったなしだ。
ただ、わが国は、既に1997年の金融危機を乗り切り、しかも、小泉政権下、徹底した不良債権処理を進めてきたおかげで、日本の金融システムは、欧米諸国と比較すれば、相対的にはまだ強い。
しかし、急激な株安・円高は、当然のことながら、わが国の金融機関の体力や実体経済の著しい悪化を招くことになる。
こんなときに、小渕内閣(金融危機への対処)や小泉内閣(不良債権処理)の過去の遺産があることを良いことに、国会が、党利党略の場となり、その役割を確実に果たすことができなければ、それこそ選挙民に対して顔向けができない。
(思い切った措置で金融システムの崩壊を防げ)
小泉政権の時代、相当思い切った不良債権の処理が進められた。
これを今でも、「米国の陰謀に乗せられて日本の銀行を米国に安く売り渡した」などと捉える向きもあるが、この荒療治があったからこそ、わが国の金融システムが蘇ったことを忘れてはならない。
現実に今、野村証券が、リーマンの欧州法人を買収するなど、欧米の危機に際し、わが国の金融機関は、再び攻勢に転じつつあるではないか。
もっとも、足下を見ると、2007年9月期で、都市銀行こそ、不良債権比率を1.5%にまで縮小させているが、地方銀行は3.86%、第2地銀は4.5%と、地方の金融機関の不良債権処理は、完全に終わったとは言えない状況にあるのも事実。
これに「急激な株安」が追い打ちをかけると、地方の金融システムが、急激な不安定化することが懸念されることになる。
すなわち、現在銀行は、自己が保有する資本の25倍の資金しか貸し出すことができないこととされているが、その一方、銀行は、多額の株式を保有しているため、「急激な株安」は、貸し付け限度額の大幅な縮小=「信用収縮」を招き、貸付金の引き上げ=「貸しはがし」が全国的に発生するおそれがある。
これでは、今年の暮れにかけ、地方の中小企業を中心に、まさに倒産の山が築かれることになってしまう。
これを防ぐのが、「時価会計の見直し」(株安の資本収縮への直結を防ぐ)と「公的資金による銀行の自己資本増強」だ。
特に後者については、従来公的資金の注入を可能としてきた「金融機関機能強化法」が失効している現在、その早急な復活が急務だ。
ただ、今回の危機が、基本的には外的要因によりもたらされたことを考えると、公的資金を注入した銀行に一律に経営責任を問う従来の仕組みは必ずしも現実的でない。
ここは、スピード感をもって、「エイヤッ」と策を講じ、経営責任や天下りの問題を問わなければならない場合は、個別の問題を切り離して、徹底的に責任を追及するという発想が大切だ。
その意味で、私は、特定の金融機関に対する資本注入を渋り、法案の成立に躊躇している民主党の姿勢には、大きな疑問を感じざるを得ない。
(赤字に転落した中小企業を救え)
加えて、株安に加えた円高が、わが国の「ものづくり」などの実体経済を直撃しつつある。
ただ、誤解を恐れずに言えば、「円高」自体は、わが国の経済が世界的に評価されている証左ではある。
すなわち、今米国は株安×ドル安、欧州は株安×ユーロ安で、ダブルパンチで資産を目減りさせているが、わが国は、株安×円高で、実はドルベースの資産はそれほど目減りはしていない。
もっともそうはいっても、わが国政府保有の米国債は大きく価値を減らし、さらに、円高は、輸出関連企業を直撃している。
そして何よりも、景気後退感が個人消費を急激に冷やしている、このため、中小企業を中心に、今まで堅実な経営を行ってきたにもかかわらず、赤字に転落する企業が相次いでいる。
これらの企業を、絶対に倒産に追い込んではならない。
何とかやっていけるという希望を持っていただくためにも、赤字に転落した企業でも、真面目で堅実な経営を行ってこられた方には、政府系金融機関も動員した潤沢な資金提供を行う制度が必要だ。
先月成立した平成20年度補正予算では、6兆円の中小企業向け緊急信用保証措置が盛り込まれたが、現下の急激な円高を考えると、ちょっとこれでは足りない。
やはり、2次補正予算による手当も考えていかなければなるまい。
(個人消費の拡大が急務)
そして、今年から来年にかけて、緊急な対応が必要なのが、個人消費の刺激策だ。
わが国は、金融システムこそ相対的に安定しているものの、欧米の経済危機による輸出減、原油高などによる輸入増で、今や、貿易黒字による経済拡大が望み薄になっている。
ただ、これについても、「小泉政権下、内需拡大方策をとらなかったため」と、自虐的な発言をする経済評論家もいるようだが、彼らは、わが国のGDPに占める輸出依存率が約10%強(2005)で、先進国では米国の7%に次いで低く(ドイツ35.6%、韓国70%)、わが国がなお「内需大国」である実態をどう評価するのだろうか。
しかし、10%強もの輸出が縮小するとなればやはりゆゆしき事態。
総需要を拡大させるためには、
○外需の減少した分を、内需の拡大で補うための方策
○日本の外需依存率が低い実態を国民に説明し、不安に陥ることなく個人消費を増やしていただく「呼び水的方策」
が必要で、特に後者は緊急を要する。
麻生総理の指示で、第2次補正予算に盛り込まれることとなった「定額給付金」構想等は、私は、「うまく説明し、運用すれば大きな効果を生むことのできる景気対策」であると考えている。
(政策を実現する国会を)
以上の3点を、私は、10月30日の麻生総理による経済対策の発表前から、党内でも、街頭でも訴えてきた。
今回の経済対策では、おおむねその内容が盛り込まれたと自負している。
これからは、国会の場で、実現に持っていく番だ。
私も、予算委員会(第2次補正予算)及び国土交通委員会(道路特定財源の一般財源化・地方への交付問題)を担当する国会対策副委員長として、地元での政治活動を強化しつつ、あわせて、国会対策に全力を尽していかなければなるまい。
私たちの存在は、何よりも国民のためにある。