麻生総理所信表明~小沢民主党は「政局第一義、国民生活第二義」を止めよ
2008-9-30
9月29日、麻生新総理の所信表明演説が行われた。国民生活を守るため、政府与党が推進する緊急の政策を述べた上、小沢民主党に対し、その賛否を問うという、異例の内容だった。
私は、昨年8月来、自民党国会対策副委員長として、「ねじれ国会」における小沢民主党の対応をつぶさに見てきたが、この日の麻生総理の所信表明にもあったように、彼ら、すなわち、小沢民主党の眼中には、「政局」だけしかなかったことを、身をもって感じてきた。
「政局」を有利にするためには、重要法案の審議もせず、店晒しにし放題(衆議院で十分な審議を尽して送付したのに、参議院で、テロ特措法、予算関連法案等の審議に60日という長期を要する理由がない。)。
TV朝日によれば、国会は1日店開きするだけで3億円かかるということで、これでは、小沢民主党による究極の税金ムダ使いだ。
この日の麻生総理の所信表明は、まさに、この1年間の小沢民主党の国民生活不在の政治姿勢を踏まえ、政府与党として、本格的な論戦を挑むものとなった。(国民生活の不安解消が必要~政局ごっこはもうたくさん)
昨今の原油・食糧の高騰、米国の金融危機は、わが国の国民生活の不安感を増大させている。
もっとも私は、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」式に、これまでの小泉構造改革を全否定するつもりはない。
これまでの改革路線は、国内経済の強化のため、一定の成果を得たものと思う。ただ、昨今の外的なマイナス要因や改革の行き過ぎに対しては、緊急の手当が必要だ。
その意味で、今回の補正予算は、赤字国債を発行することなく、財源をやりくりし、1.8兆円を捻出、原油高騰や中小企業・農業への手当を行い、小沢民主党の反対で穴を開けてしまった地方自治体の財源補填も、緊急に行うこととしたものだ。
ところが小沢民主党、補正予算や地方自治体の財源補填への賛否も明らかにすることなく、「22兆円ビジョン」なる、選挙対策向けの「幻想」でごまかそうとしている。
「国民生活」をおもちゃにする「政局ごっこ」はもうたくさんだ。
だからこそ、この日、麻生総理は、小沢民主党に対し、目の前に具体的に示した補正予算等についての賛否を問い、もしも小沢民主党に構想があるなら、その財源の明示を要請したわけだ。
(「国民目線の行政」が必要)
「国民目線の行政」を実現するには、第1に、「信賞必罰」が必要だ。
私は、「非食糧用事故米調査チーム」の一員として、9月18日、三笠フーズ九州工場を実地に調査してきた。
その中で明らかになったのが、「検査」と称して、「お茶のみ」だけという、出先農政事務所のずさんな仕事ぶりだった。
このように、今、国民のために働かないで、身分保障を謳歌する国家公務員たちがいる。
そして中には、社会保険庁の職員のように、給与や標準報酬月額の改ざんに手を染める職員も出てくる。
彼らについては、しっかりと処分し、去っていただかなければなるまい。
だからこそ麻生総理は、信賞必罰の必要性を説き、私も、現在、社会保険庁ヤミ専従問題対策プロジェクトの座長として、不良公務員の排除を進めている。
ところが小沢民社党は、官公労の支持を得るためか、社会保険庁の不良職員でさえも、公務員として生き残らせることを目指している。
このような小沢民主党に、果たして、「国民目線の行政」が実現できるだろうか?
「国民目線の行政」を実現するための第2は、「外部の目の導入」。
消費者庁構想がまさにそうだが、私たちは、国民目線の行政を実現するためには、検査には、外部の方にも加わって頂くなど、行政が、緊張感をもってことに当たることが必要だ。
先の農政事務所なども、身内だけの体制でやっていると、どうしてもなれ合い体質が残ってしまう。
これについて、小沢民主党からは、組織論として、「消費者院」を創れだとかいろいろな意見は聞こえてくるが、何をどうしたいのか、どうも内容が良く分からない。
今回麻生総理が小沢民主党に対し、消費者庁構想への賛否を問うたのは、まさに、「国民目線の行政」の確立が、堂々巡りの議論に時を費やすいとまのない、緊急の課題だからだ。
(危機のときだからこそ米国との協調が必要)
我が国の外交政策を考えたとき、やはり、「日米同盟」が基軸だ。安全保障だけでなく、経済の面でも、原油高騰や金融危機に対処し、米国に対し、政策的な協調を要請するにも、日米両国の間に、強固な信頼関係を築いておかなければならない。
その意味でも、インド洋での給油活動は決定的に重要だ。
加えて、9.11テロでは、日本人24人も犠牲になったわけで、「テロとの戦い」は、実は「対日本人テロとの戦い」でもあり、日本国民の生命を守るための重要な活動だ。
麻生総理は、インド洋での給油活動の必要性を訴えた上、小沢民主党が、なぜ「テロとの戦い」からの離脱を主張しようとしているのか、また、小沢民主党は、「国連重視」というが、「中国やロシアが拒否権を持つ国連」と「日米同盟」とのどちらに軸足を置くつもりなのか、その真意を問うた。
もしもムードだけで、我が国がインド洋における給油活動から離脱することになると、原油輸送ルートであるシーレーンの安全確保、原油高騰、金融危機、拉致問題等に対処するための米国との政策協調に重大な支障を及ぼしかねず、ひいては、国民生活に大きな迷惑をかけることになりかねないだろう。
(小沢民主党の反応~「財源を示すのは与党の仕事」)
小沢民主党が、「政権獲得」を目指すならば、以上のような真摯な問いかけに対し、誠意を持って答え、「政局第一義、国民生活第二義」を即刻止めることが必要だ。
その意味でも、10月1日からの代表質問の内容を注目していきたいが、報道等によれば、小沢民主党の側は、総理の問いかけに、真剣に答えていこうという方向ではないようだ。
例えば9月29日の民主党代議士会、小沢代表の側近と言われる山岡賢次国会対策委員長は、次のような発言を行った。
「与党は財源を示せと言っているが財源を示すのは与党の仕事である。それを野党が裏付けがないと言いがかりをつけて国民に誤解を与えようとしている。」
とすると、野党は「対案」なるものを提出するときに、具体的な財源を明示しなくても良いわけだ。
財源を他人(与党)が探してくれるなら、野党は、いくらでも大衆受けする政策を主張できる。
小沢民主党の秘密が1つ、わかったような気がする。