茨城から水田をよみがえらせよう~県下の関係者を集め「家畜飼料用米説明会」

2008-7-14

飼料用米説明会での報告の模様

7月14日、石岡市での、「茨城県水田農業推進協議会」の説明会、私が講師として、「飼料用米に対する助成措置の考え方について」と題し、県下農協の約180人の関係者に対し、1時間ほどの報告を行った。
昨今のコメ作りを巡る状勢は、人口減とコメの消費減退による需要縮小の反面、過剰作付けによる供給過剰で、米価が年々下落、売り上げが生産コストを割り込み、農家の経営を圧迫するという、ハッキリ言えば悪循環だ。
我々も、本年度、何とか計画生産を徹底、麦・大豆等への転作を拡大すべく相当骨を折ったが、それでも、わが茨城県では、過剰作付け(計画を超える)面積が、昨年の7千㌶強よりは減ったものの、なお5千㌶強と、なかなか結果に現れて来ない。
その原因の1つに、「(県南・県西など)もともと湿地帯だった田んぼでは、麦・大豆などの畑作物への転作はかなり無理がある。だから、『過剰作付け』と言われても、コメを作るしかない。」という農家の声があるのも事実だ。
それなら、水田を生かしながら、イネ科の植物で転作できないか、そのカギを握るのが、牛・豚・鶏のエサになる「飼料用米(モミのみを利用)」と「飼料用稲(茎部分も利用)」だ。(私の年来の主張~「飼料用米」増産にカジを切った自民党農政)

私は、これまで3年間、自民党畜産・酪農対策小委員長として、わが国の畜産・酪農政策の船頭役を担ってきた(3年連続というのは、自民党史上初。)。
この間、飼料価格の高騰、生乳消費の低迷等の状況に応じ、畜産・酪農農家の声を聞きながら、数次の対策を施してきたが、私の選挙区自体は、畜産・酪農農家の数は余り多くなく、票にして2百票程度に過ぎない。
それでも私は、わが国の食料安全保障と食の安全・安心を守るため、一生懸命仕事をさせていただいたつもりだ。
そんな中、私が、水田農業との関連で、粘り強く主張してきたのが、「飼料用米」増産の必要性だ。
水田農家の話をつぶさに聞くと、勿論地域によってだが、麦・大豆への転作政策だけでは限界がある。
良く、野党の方は、「輸入小麦が高騰してパンの物価が高くなるなら、国産小麦を増産すればいい」などと言われるが、彼らは、
○国産小麦はグルテンの含有比率が低く、増産してもパンにはならない(現在、百万㌧の国産麦のうち、パン用の利用は1万㌧のみ)。
○国産麦の場合、本州では収穫時期が梅雨と重なるため、雨に降られて刈られた麦は相当が「規格外」、売価は㌔約10円で、食用うどん粉にもならず、事実上、補助金を得るための「捨て作り」となっている。
といった、現場の実態を踏まえた上で物を言うべきであろう。

そもそも、わが国は、「食料自給率が4割を切っている」のに、国産の米も牛乳も生産過剰、麦も規格外(何と国際価格の半値以下!)が多く、農家は、価格の低迷に苦しんでいる。
やはり、作ったら作っただけ売れる作物を選んで、栽培していくいくことが必要だ。
その意味で、注目すべきは、現在わが国が、(家畜飼料の原料として)毎年1200万㌧を輸入しているトウモロコシの代替穀物として期待される飼料用米(牛・豚・鶏のエサ)だ。
1200万㌧という需要量は半端ではなく、これなら、作れば作るだけ需要があることになる。アトはコストの問題だけだ。
その意味で、現在、トウモロコシの国際相場は、2年前の3倍(㌔約30円、これに運賃が加算される)までに高騰する一方、技術開発により、飼料用米の分野では、10㌃当たり1㌧程度(通常は500㌔)の収穫が可能な多収穫米(主食用としては、食味は大幅に落ちる。)が開発され、状況は大分良くなってきている。

私は、昨年春頃から、この飼料用米の活用を、畜産・酪農分野の自給飼料基盤強化のための、また、水田農業分野の無理のない転作実現のための切り札として、補助金体系を構築すべきことを主張してきた。
そして、昨年秋の過剰作付けによる米価下落に伴うコメ政策の見直しの中で、この主張が、多くの先輩・同僚の理解を得、わが党の農政は、「飼料用米」増産に大きくカジを切ることとなった。

(具体的で中身のある政策展開こそ必要)

ただ、「大きくカジを切った」とはいえ、我々は、党のマニフェストか何かに、「高速道路を無料化する」とか、「麦を400万㌧生産する。」といった文字だけを踊らせれば、さも政策を作ったかのような気になってしまう政党とは違う。
やはり、責任政党として、言い出した以上は、実現までの責任を持たなければならない。
その一環が7月14日の説明会だ。
来年度、飼料用米に取り組もうとする自治体が、今のところ、県下44市町村のうち、まだ2つに過ぎないという話を聞き、私の発案で、私のほか、栽培技術畑の講師も呼び、もっと「飼料用米」のことを知ってもらおうと、県の農協主催で企画していただいた。

飼料用米を増産するとしても、国としての補助金体系を構築する一方、やはり現場でのチャレンジが必要で、そのためにも、私たち政治家が、責任をもって、政府・与党としての考え方を説明し、現場での努力を促す取り組みが必要だと思う。
だからこそ、この日、私は、

予定を大幅に上回る180人が参集した


○多収穫米の種モミをどのように確保するか
○国の平成19年度の助成措置にはどのようにものがあるか
○平成20年度に向けて現在党内でどのような議論が行われているのか
○飼料用米に取り組むに当たっては、地域の側でも、どのような助成金のメニューを組むことが必要か。
○飼料用米は誰が引き取ってくれるのか、引き取り価格の見通しはどうか
○麦・大豆への転作と飼料用米栽培はどちらが得か
などの相当現場的な課題を、具体的に説明、「私は決して調子の良いことは言わないが、是非、わが茨城県がチャレンジ精神を発揮し、国の助成を先取りする意気込みを示して欲しい。」と訴えた。

飼料用米・飼料用稲の取り組みが本格化すれば、

(農村の再生)
○関東平野や新潟平野など、もともと湿地帯の水田を、無理に畑として転作するのでなく、水田のまま、主食用米以外の作物を作ることができ、日本の農村風景が美しくなる。

(非常時への備え)
○日本の水田は270万㌶あるが、これを、仮に、150万㌶で「おいしい主食用米」(10㌃500㌔の収量)を、100万㌶で「エサ向けの飼料用米」(10㌃1㌧の収量)を、20万㌶や裏作で麦大豆を生産すれば、休耕田をなくし、1750万㌧のコメを生産できる計算になる。
人間は、1年間、150㌔のコメと、梅干かタクアンがあれば、生きていくカロリー摂取が可能だから、非常時、諸外国からの穀物輸入がストップしたとしても、かなりまずいけれども(炊きたてなら食える)、エサ米を人間が食べてしまえば、約1.2億人の日本人を飢えさせないで済む。

など、わが国の将来への安心の確保につながることは間違いない。

ただ、口で言うのは易いが、ことを運ぶのは骨が折れる。
でも、、将来への安心を現実のものとしていくためには、我々政治家が、実際に、具体的で、中身のある努力をすることが大切だと思う。
この日の説明会はその第1歩、1つ1つ物事を進め、わが茨城から、日本の水田をよみがえらせていきたい。