「税金ムダ遣い」の悪徳公務員は「私財で損害賠償」を~公務員給与改革再始動

2007-11-27

公務員給与改革議連を主宰

11月27日、私が事務局長を務める「公務員給与改革断行を求める若手議員の会」。
衆議院当選1回生に参加を呼びかけ、今後数回にわたる集中的な勉強会を行い、2~3週間のうちに緊急提言をとりまとめ、官邸・党4役に申し入れを行っていくこととした。
このタイミングで、私達の議連が緊急提言を行うこととしたのは、現在、政府で、キャリアとノンキャリアの垣根を取り払う国家公務員の人事制度改革の検討が進められていることが大きい。
このような制度改革は、給与にも反映されるわけで、今まで公務員給与改革の推進力となってきた私達の議連も、給与改革の観点から、あるべき人事制度のあり方について議論し、政府や党に対し、必要な申し入れを行うことが大切だ。
これに加え、今回は、私の強い意向で、「『意図的に税金のムダ遣いをした公務員』には、退職後も、退職金返納に止まらず、私財による賠償を求める」制度の検討について、提言を行うこととした。
今日は、この「求償制度の検討」について書く。かつて、田中真紀子衆議院議員が、公務員の退職後の「懲戒」の問題を提起したことがあったが、社会保険庁、防衛省の問題など、昨今の目に余る公務員不祥事を目の当たりにし、総務省では、一定の不祥事が発覚した公務員について、「退職金の返納」の義務づけることの検討が始まったところだ。
しかし、本当にそれで十分だろうか、意図的に国民に損害を与えた、極めて悪質な公務員には、税金のムダ遣い分を、私財で贖っていただくことも検討すべきではないか。
そして、私はこのことを、何も、大衆迎合的なポピュリズムの観点や、公務員バッシングの視点から唱えているわけではない。

今、わが国の財政は、まさに火の車だ。
少子高齢化が進む中、年金・医療・介護の予算は増え続けるのに、人口の方は減少していくため、大幅な税収増は無理な話だ。
国債残高がさらに膨らみ、お札を刷って返済するしかなくなれば、当然国債も大暴落、「円という紙幣」は、「紙屑」になってしまう。
このケースは極端としても、高齢者の年金が、無価値な「紙屑」になり、皆が路頭に迷うという最悪のシナリオもあり得る。
将来にわたり安心できる年金制度などの構築のためには、やはり、社保庁等の行政改革を進めつつ、安定的な財源を確実に確保するという、将来に向けた制度設計の議論を進めることが至上命題だ。

ところが、今まで、将来の制度設計について、国民とともに冷静な議論をしようとした途端、必ずと言っていいほど、公務員の不祥事がクローズアップされ、議論が止まってしまった。

2004年の年金改革(年金保険料の段階的引き上げ)のときは、バブル崩壊で大赤字となったグリーンピア・サンピアなどの施設への保険金の流用と、これらの施設への役人の天下りの問題がクローズアップされ、与党の改革案は、何かこれらの役人の尻拭いをするように見られてしまった面もあった。
事実、グリーンピア等への投資は、年金財源に約2千億円もの穴をあけており、私自身も、当時の担当者を縛り首にしたい心境だ。
しかし、当時議論しようとしていた年金改革の議論は、毎年、対前年比で数兆円オーダーで増加する支出に見合った収入をどうやって確保するかという問題で、本来は全然別次元の話だったはずだ。

また、今年の社保庁改革の議論では、社保庁のデタラメな事務処理を放置してきた歴代社保庁長官が、のうのうと天下りとわたりを繰り返し、多額の退職金を得ていた問題がクローズアップされた。
そして、与党が、執行体である社保庁の解体と抜本的改革を目指していたにもかかわらず、何か社保庁のこれまでの不祥事を擁護しているような印象も持たれてしまった。

さらに、最近では、守屋前防衛次官の接待疑惑事件は言語道断と思うが、給油新法の審議とは、本来別次元の問題であるはずだ。
しかし、今、表だって、「別次元」と主張すれば、「お前は守屋をかばっているのか」と、逆に攻撃されかねない雰囲気もある。

このように、与党が、何か、不良公務員の尻拭いをしていると思われた途端に、将来の制度設計について冷静な議論ができなくなる。
だからこそ私は、公務員(当然政治家も含む。)の不祥事に対して、より厳しく対処するしていくことが絶対に必要だと思う。

民間には、「株主代表訴訟」というものがある。
背任行為等を行い、会社に損害を与えた経営者に対し、株主が損害賠償を求める制度だ。

その類の制度を、公務員や政治家についても設けていく必要があるのではないか。
例えば、汚職や背任などの行為を犯した公務員・政治家が、意図的な不正発注、不正融資、不正投資等で、税金をムダに遣ってしまった場合、退職金の返納に止まらず、その私財に対し損害賠償を求めることも検討して良いのではないか。

このような制度の構築を、少なくとも、次の総選挙におけるわが党の公約に盛り込むべく、これからも議連の活動をリードしていく。
そして、私には、自民党が、真の責任政党として、悪徳公務員や政治家を厳しく断罪する姿勢を示すことで初めて、国民の信頼を勝ち得、将来負担についての冷静な議論ができるのではと考えている。