「わざとじゃないよぉ」~言い訳に終始した懲罰委員会での永田寿康議員
2006-3-25
3月24日の衆議院懲罰委員会。私は、自民党を代表して、ニセメール問題の渦中にいる、永田寿康議員に対する質疑を行い、TV中継された。
このような懲罰委員会での質疑は約30年ぶりで、TV中継も、歴史上初めてのこと。それだけ前代未聞の事件ということか。
自民党からは平沢勝栄議員と私の2人がバッターとして立ち、平沢議員が、ニセメール事件の事実関係について、私が、問題となった質問に関する民主党内のチェック体制や永田議員の政治姿勢について質すという役割分担で委員会に臨んだ。
冒頭、永田議員が、岩國委員長の質問に対し、ニセメールの提供者として、「西澤孝」氏の名前を明らかにし、反省の意を表した。
氏名公表を渋るようだったら、強い口調で追求することを考えていたが、氏名の公表を受け、私は、「弱い者いじめ」になることのないよう、できるだけソフトに、かつ、「聞くべきことは聞く」ことに意を用いて、30分間の質疑を行ったつもりだ。
そして、永田議員の対応は、「申し訳ない」と繰り返すものの、「わざとじゃないよぉ」という「言い訳」に終始したという印象だった。ことの発端は、2月16日の予算委員会で、永田議員が、ライブドアの堀江前社長からの、武部幹事長のご次男に対する3000万円の送金事実を裏付けるとするメールの存在を指摘したことだ。
その後の報道でも明らかなように、このメールが、完全なガセネタだった。
誰が、いつ、どんな目的でこんなメールを作ったのか、金銭目的なのか、誰かを陥れる目的なのか、3月24日の質疑でも、明らかにはならなかった。
ここはやはり、「西澤孝」氏に、そこらへんのところをしっかり質していくことが必要と思う。
だからこそ、私は、質疑の最後に、証人喚問を含めた事実解明を求めた。
でも、それ以外に、永田議員だけでなく、民主党が、何故こんなあやふやな情報に基づく質問を認めたかという疑問が残る。
なぜならば、予算委員会での、特に、対総理に対する質問は、まさに党を代表しての質問であるからだ。
私も先に、予算委員会で、対総理質問を行ったが、その質問内容は、国会対策委員会から、しっかりチェックされた。
しかも、今までの永田議員の弁明を聞いていても、おっちょこちょいの永田議員は、メールを真正と信じ切っていたかも知れないが、何らの裏付けもしていないことは明らかで、常識的な政治家が判断すれば、「キワモノ」と断じざるを得ないシロモノだ。
それなのに、2月16日の質疑後も、永田議員だけでなく、高い見識があるはずの前原民主党代表や、野田国会対策委員長(当時)が、情報の信ぴょう性について、強気の発言を繰り返してきたことが、私には腑に落ちない。
その背景には、永田議員自身が、「西澤孝氏」から得た情報をさらに誇張し、いかにも精査したものであるかのように、前原氏や野田氏に報告し、質問についてのGOサインを得たといった状況があったはずだ。そうでなければ、民主党も、いかにもワキが甘い。
私は、「民主党をこよなく愛している」永田議員が、結果的に、民主党執行部を「だました」のではないかと考えている。
だからこそ、永田議員は、単なる「被害者」ではないはずだ。
武部幹事長やそのご次男、さらに自民党を誹謗中傷したという意味での「加害者」であり、国会の信用を失墜させたという意味での「加害者」でもある。
そして、結果として、民主党の執行部をダマし、民主党を窮地に追い込んだという意味での「加害者」ではないか。
私は、そこらへんについても、永田議員に質した。
永田議員の答えは、「ダマすつもりはなかった」というもの。
ただ、「西澤氏からの情報を(いかにも「信ぴょう性」ありと思わせるように)誇張し、民主党の執行部に真正のものと信じさせてしまったかも知れない。」ことは認めた。
我が家の3才になる末娘(3女)は、悪さをすると、良く、「わざとじゃないよぉ」と言い訳し、家内にしかられている。
何故か、そんな姿と、永田議員の姿とがオーバーラップした質疑だった。