北朝鮮核実験対応シナリオ~我々若手も責任重大

2005-6-1

今日は北朝鮮の核実験対応シナリオの話題。

左から葉梨康弘、菅座長、山本事務局長

5月31日、「対北朝鮮経済制裁シミュレーションチーム」(我々若手議員12名のメンバーで構成)会合で、北朝鮮が核実験という暴挙に至った場合、わが国として外交努力を行うのは勿論のこと、たとえ単独でも、毅然として制裁を発動すべきというシナリオをまとめた。
私も、チーム内で唯一の外交官経験者として意見を提出したが、改めて、このシナリオをとりまとめた山本一太参議院議員のご努力に敬意を表したい。
さて、拉致問題に加え、核問題も加わり、北朝鮮問題は、わが国にとって、現実的な極めて大きな脅威で、国民の関心も極めて高い。
特に、拉致問題への北朝鮮の不誠実な対応には、根強い不信感があり、「今すぐにでも経済制裁を発動すべき」という世論は大きい。
ところが、小泉総理は、経済制裁について、一貫して慎重な発言を行っている。このため、私も地元を歩いていると、「総理は及び腰ではないか」、「北朝鮮に甘いのでは」などの声も耳にする。
でも、私は、必ずしもそうは思わない。外交は、極めて微妙なもの。
また、だからこそ、我々若手のメンバーの出番もある。

地元で、支持者の方から、「総理は及び腰」と指摘される度に、私は、「大将が、やるともやらないとも、皆まで言っちゃあおしまいよ。」と答えるようにしている。
一国の総理の発言は極めて重い。特に相手は独裁国家であり、そのリアクションも読みずらいからなおさらだ。

ただ、その一方で、北朝鮮や国際社会に対して、わが国が、北朝鮮に対して宥和的であるかのような、誤った印象やメッセージを与えてはならない。
ここらへんに我々の出番もある。

第1に、北朝鮮に対しては、わが国政府の最終判断はブラックボックスとしても、わが国の国民、さらに、政権与党が、制裁の発動等について、重大な決意を持っていることを発信しなければならない。
特に相手は独裁国家。
相手に対しては、超党派よりも、政権与党である自民党の正式機関の方が、パンチがあるのも事実だ。
「対北朝鮮経済制裁シミュレーションチーム」は、若手ばかり12人とはいえ、拉致対策本部長の安倍晋三幹事長代理肝いりの、れっきとした自民党の正式機関。
また、我々の議論は、これまでも、制裁の効果、リアクション等を積み上げてきており、「思いつきで不快感を示す」とか、「自民党内にはこんな強硬派がいる」というレベルではなく、より確実に、「わが国としての重大な決意」を相手方に示すものになっていると思う。

第2に、国際社会に対して、北朝鮮による核問題は勿論のこと、拉致の問題についても、決して日朝間のみの問題でなく、国際社会にとっての重大問題であることを訴え続けなければならない。

まず、北朝鮮による拉致問題。
拉致という国家犯罪を犯し、しかも、これを隠蔽するかのような不誠実な対応が続くとしたら、北朝鮮は、よど号ハイジャック犯などへの「テロ支援国家」の域を超え、もはや「テロ国家」そのものと言われても仕方がない。
国際テロ組織に対してすら、厳しい措置がとられている現在、このような国家(単なる組織でない)の存在は、当然、国際社会に対する脅威だ。
このことを、関係国に対してしっかり訴えていくべきだ。

次に、北朝鮮の核問題。
北朝鮮が「核兵器保有国」となることは、わが国のみならず、国際の平和と安全のため、著しい脅威だ。
核不拡散の重要性に加え、国家テロである拉致問題の解決を図ろうともしない国が、核兵器を持った場合の具体的危険性を、国際社会に訴えていくべきだ。

そして、国際社会の中でも、6カ国協議のプレーヤー、とりわけ、韓国と中国の理解が大切。
さらに、共通認識を深めるためには議員外交も大切だ。

実は、この3月、いわゆる「脱北者支援法案」について理解を求めるため、6名の議員からなる韓国ミッションが編成され、私もその一員として訪韓することになっていたが、このミッションは、「竹島の日問題」による韓国の反日暴動等で急きょ延期になってしまった。

ただ、国際社会への発信の重要性を思うとき、少なくとも、分断国家として北朝鮮と向き合っている、韓国の政府関係者や議員に対しては、我々自身が、わが国・わが党としての重大な決意を直接伝えていくという努力をしなければならない。

このため私も、これまでのシミュレーションチームの会合では、早期の韓国ミッション実現を訴えてきた。

こうして、北朝鮮の核問題もあり、6月10日夜日本発、6月12日朝日本着の強行軍のミッションが組まれることになったわけだ。
メンバーは、菅義偉衆院議員(座長)、山本一太参院議員(事務局長)、河野太郎衆院議員、田村耕太郎参院議員、岡田直樹参院議員と私の6人。
しっかり仕事をしてくるつもり。
また、その結果は、コラムで報告したいと思うのでお楽しみに。