衆院本会議で代表質問~新たな時代の国土ビジョンを

2005-5-18

今日は、衆議院本会議での代表質問の話題。

衆院本会議で代表質問

5月17日、私は、国土総合開発法について、衆議院本会議で、与党を代表して質問に立った。
本会議での質問は、国会用語で、「登壇」と呼ばれる。
この「登壇」の機会は、施政方針演説への質問のほか、通常国会ごとの約150本の内閣提出法案のうち、約20本ほどの重要案件について。
ただ、審議促進のため、慣例で、登壇機会は、野党に多く割り振られる。
昨年の通常国会では、176議席の民主党から28人が登壇して質問したのに対し、250議席の自民党はわずか18人。
だから、自民党の登壇確率は、民主党の2分の1以下。
大変貴重な機会を与えていただいた。
しかも、国土総合開発法は、「新全総」、「四全総」など、わが国の戦後の成長をリードしてきた「全国総合開発計画」の根拠法で、私の所属する国土交通委員会でも、極めて歴史的、かつ、重要な法律。
本格的な人口減社会の到来を目前に控え、これからの国土や国民生活のあるべき方向について、実のある質問ができたと思う。わが国の人口は、2006年の約1億2700万人をピークに、2007年から、歴史上初めて、本格的な人口減社会を迎え、2100年には、6500万人弱になると推計されている(政府推計)。
まだ実感がわかない面もあるが、この推計では、年平均68万人の人口が減少するわけで、4年間で茨城県(人口300万人弱)1つが消えていくこととなる。

これはまさに大変な時代。
総人口が減り、しかも、人口構成が高齢化するから、生産年齢人口は、さらに輪をかけて減る。こうなると、国全体としての経済成長を維持することは、実は極めて難しく、社会保障も心配。
また、住む人が減れば、以前ほど宅地もいらなくなる。
将来的に土地需要が減ることが確実なら、地価は暴落するおそれがあり、金融機関の不良債権が再び深刻化することも懸念される。

勿論これでは日本経済は崩壊する。
このような危機を回避するのが、我々政治家の責務。しっかりとしたビジョンを示さなければならない。

その1つの方向が少子化対策。
今、人口減を食い止め、子供を増やす対策は急務だ。
我々は、保育対策、教育への助成、児童手当、税制等々あらゆるメニューを動員していく必要があるが、この点については、機会を改めて書く。

ただ、たとえ今、少子化対策が劇的に成功し、合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子供の人数)が、現在の1.29から、人口維持に必要な2.07に回復したとしても、今生まれた赤ちゃんが働くようになるまで、20数年の時間が必要になる。
実は、この「劇的成功ケース」ですら、我が国の人口は、8千万人台に減少すると推計されており、いずれにしても人口減少は避けられない。

そこで、2つ目の方向が、人口減社会に対応した、しっかりした国民生活の将来ビジョンと国土の計画を作っていくこと。
そして、
○個人のレベルでは、1人1人が、もっとゆったりと土地を使う、豊かでゆとりあるライフスタイルを作っていくこと
○まちづくりのレベルでは、郊外の乱開発をやめ、既存の市街地やインフラを活用する「コンパクトシティ」構想を進めること
○国全体としては、海などのフロンティアをしっかり確保すること
などが重要だ。
戦後の開発で、多くの宅地やインフラが整備された。
人口減社会の中で、チマチマ住むライフスタイルを推奨してしまうと、かつて整備された土地やインフラには、ぺんぺん草が生えてしまう。
また、郊外に新たなスーパーなどの施設を作り、都市の面積を広げ、かつての中心市街地を廃墟にするよりも、やはり、既にインフラも整備されている既存の市街地を、もっと大事に活用していく方が効率的だ。

私は、このような提案を、今回の質問に、盛り込ませていただいた。
これから来る「大変な時代」を乗り切り、新たな時代を夢のあるものとしていくため、さらに知恵を絞っていきたい。