平成29年度予算案に対する本会議賛成討論~予算成立こそ最大の景気対策

2017-4-1

本会議における討論の模様


平成29年2月27日、私は、衆議院本会議において、平成29年度予算案についての賛成討論を行いました。
与党の賛成討論は、通常の場合、予算案に賛成する理由のみについて触れるのですが、私の賛成討論は、野党側が、予算案の衆議院通過の前提として、解明を求めてきた諸問題に触れ、これらがいずれも予算の早期成立を阻む理由とならないことを明らかにするものでした。
 
予算委員会の同僚理事からは、「戦う賛成討論」と評されました。また、特に後段部分は、野党からの野次が飛ばされ(壇上では良く聞こえます。)ましたが、どんどん先に進めなければ時間がなくなってしまうため、野次は無視することにしました。
以下、その内容を、会議録から紹介します。
 

 

  • 議長(大島理森君) 葉梨康弘君。
     
        〔葉梨康弘君登壇〕
     
  • 葉梨康弘君 自由民主党の葉梨康弘です。
     
    私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました平成二十九年度一般会計予算案外二案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
     

    1. 足下の経済情勢~アベノミクス推進の必要性
       
      政権交代以降、安倍内閣は、経済再生と財政健全化を両立させつつ、アベノミクス三本の矢の取り組みにより、極めて短い期間で、もはやデフレではないという状況をつくり出しました。
       
      幾つかの数値を政権発足前と比較してみましょう。
       
      まず、名目GDPは、約四十七兆円増と、九・五%の伸びを示しました。次に、有効求人倍率は〇・八二倍から一・四三倍へと大幅に改善、失業率も四・一%から三・一%に縮小しました。これらの結果、国の税収は約十五兆円増加し、財政健全化に大きく寄与しています。
       
      もとより、国際的な不確実要因が指摘されるなど、足元の経済状況には注視が必要です。しかし、だからこそ、最大の景気対策である予算案の早期成立を図ることにより、アベノミクスを力強く前に進め、デフレからの脱却を確実にしていくことが必要です。
       
    2. 予算案に賛成する理由
       
      以下、平成二十九年度予算三案に賛成する主な理由を申し述べます。
       
       

      1. 国民の安心と未来への希望を確実にする各種施策
         
        賛成する第一の理由は、この予算が、国民の安心と未来への希望を確かなものとするため、必要な施策を盛り込んでいる点です。
         
        (社会保障の重点化)
        まず、社会保障については、将来への持続性を確保するための医療・介護制度改革を推進する一方、一億総活躍社会の実現や国民が安心できる社会保障の充実のため、保育士や介護人材の処遇の改善について必要な手当てを行っています。
         
        (子供たちへの投資)
        次に、我が国の未来そのものである子供たちが経済的な理由により進学を断念することがないよう、無利子奨学金の拡充や平成三十年度に創設予定の給付型奨学金の先行実施など、画期的な施策を盛り込んでいます。
         
        (社会資本整備の重点化・効率化)
        また、昨今の災害の増加や公共施設の老朽化に対処するため、社会資本の整備を防災・減災、老朽化対策などに重点化、効率化し、国民の安全、安心を確保するとともに、日本の成長力を高める分野に必要な投資を行っています。
         
        (安全保障・テロ対策の充実)
        さらに、厳しさを増す安全保障環境に対処するため、南西地域の島嶼部における防衛体制の強化など、中期防衛力整備計画に沿った着実な防衛力の整備を図るとともに、国際テロ情勢に対応するための諸対策にも予算を重点化しています。
         
        (震災復興等の重点施策への目配り)
        加えて、東日本大震災からの復興、地球儀を俯瞰する外交の積極展開、観光立国の推進、強い農林水産業の創造などの重要課題にしっかりと対応した予算となっています。
         
      2. 財政再建との両立
        賛成する第二の理由は、今まで申し述べた必要な施策を講じつつ、財政再建との両立を図っている点です。
         
        経済・財政再生計画の枠組みの下、歳出改革に取り組み、二年連続で社会保障費増加の目安を達成したことなどにより、一般歳出の伸びを五千三百億円程度に抑え、新規国債発行額も五年連続で縮減しています。
         
        一般会計のプライマリーバランスの赤字幅も、政権発足前に比べ約十四兆円改善し、平成二十七年度の赤字半減目標を既に達成、平成三十二年度の黒字化目標に一歩ずつ前進しているものと評価できます。
         
        以上、本予算案に賛成する理由を申し述べました。
         
    3. 予算案審議の過程で提起された問題
       
      本予算案は、浜田委員長の公平公正な議事運営のもと、予算委員会での充実した審議が行われました。そして、その過程において、幾つかの点に関し、内閣の説明責任が問われる場面がありました。
       
      私は、いずれの場面においても、内閣は十分な説明責任を果たしてきたと考えます。
       
      以下、具体的に申し上げます。
       
       
      (文部科学省における不適切な再就職事案)
      まず、文部科学省における不適切な再就職事案が問題となりました。
       
      組織的な天下りあっせんは、情実的な予算執行を招きかねず、根絶すべきです。与党議員も質疑において内閣に対し厳正な調査を求め、松野文科、山本行革の両大臣も徹底調査を約束しました。
       
      今後の予算執行も、特にOB関連団体に対し、一層の透明性を持って行われることが必要と考えますが、これはあくまで執行段階での問題です。調査が未了であることをもって、予算案の成立をおくらせる理由にならないことは明らかです。
       
      (テロ等準備罪に関する国会審議のあり方)
      次に、現在内閣が検討中のテロ等準備罪に関する国会審議のあり方が問題となりました。
       
      金田法務大臣が、国会審議のあり方を示唆するとも受けとめられかねない文書を発出し、撤回、謝罪を行ったことは、私も遺憾なことと思います。
       
      その上で、金田大臣からは、テロ対策等に関し、現行法令では対処できない法の穴が存在すること、国連組織犯罪防止条約締結のための国内担保法整備が国際的協力関係構築のために必要なこと、人権侵害の懸念があり得ない法案を検討中であることなど、誠実な説明がありました。
       
      今後は、法務委員会における充実した議論を期待します。
       
      (南スーダン派遣部隊作成の日報破棄事案)
      また、防衛省における、南スーダン派遣部隊作成の日報破棄事案が問題となりました。
       
      当該日報の破棄は、規則にのっとったもので、隠蔽でも何でもありません。むしろ、文書破棄を理由とした不開示決定の報告を受け、保管義務のある部署以外にも探索を指示した稲田防衛大臣の英断は、今後の開かれた防衛省への改革を期待させるものです。
       
      委員会では、当該日報が戦闘の用語を用いていたことを捉え、南スーダンの状況が議論されました。稲田大臣からは、日報の用語にかかわらず、法律用語である戦闘行為とは異なるとの答弁があり、明快な概念整理ができたと考えます。
       
      (大阪府豊中市における国有財産の売却事案)
      さらに、大阪府豊中市における国有財産の売却事案が取り上げられました。
       
      財務省等からは、もともと池であった当該土地について、大量の廃棄物が地中にあることがわかり、この廃棄物を、通常想定できる適切な方法により除却する費用を差し引いて、買い主である学校法人に売却したとの説明がありました。
       
      この土地は既に私有財産です。仮に廃棄物の除却が不十分、不適切であった場合に予想される各種被害への対応、今後追加的な廃棄物除却が必要となったときの費用負担等は、全て当該法人が負うこととなり、国には法律上の瑕疵は認められません。
       
      いずれにせよ、この事案については、今後、会計検査院などによる調査が行われると承知しており、徹底調査が行われることになります。ただ、本件について財政法違反となる事由は認められず、予算案の成立をおくらせる理由とはなりがたいと思われます。
       
       
    4. 予算の早期成立の必要性
       
      以上、予算審議の過程で提起された幾つかの点について申し述べました。
       
      一部政党の方が言われるような隠蔽とか隠蔽体質は、私たちの自公政権ではあり得ません。私たちは、必要な調査をしっかり行い、国民に開かれた政治をつくります。内閣も、それに応えてきました。一部政党の主張は、まさに印象操作以外の何物でもありません。
       
      国会議員は、建設的な議論をしていかなければなりません。
       
      この予算の成立を心待ちにしている、保育士の皆さん、お母様方、介護に携わる皆さん、お年寄りの方々、進学への志を持つ子供たち、そして多くの国民がいます。
       
      平成二十九年度予算案を早期に成立させ、国会がこのような声にしっかりと応えていくことこそが、国民の安心と未来への希望を形づくるものと確信いたします。
       
      何とぞ、政府予算三案につき、議員各位の御賛同を賜ることを強くお願いし、私の賛成討論といたします。(拍手)